筑波大学と日本大学の関東勢を破った東海1位の中京大学
全日本大学バスケットボール新人戦(プレ大会)の予選ラウンドを終え、関東勢が軒並み勝ち上がる中、筑波大学を倒してその一角に割り込んできたのが東海1位の中京大学だ。73-68で「筑波大学との接戦をしっかり勝ち切ったことで良い雰囲気で、この試合に懸ける意気込みも強かったです」という#13 中野友都は、勢いそのままに準決勝の日本体育大学戦のコートに向かった。昨年のインカレ(全日本大学バスケットボール選手権大会 )1回戦と同じカードであり、中京大学にとってはリベンジへの思いも強かった。
しかし、序盤から12-2と10点リードされてしまう。「自分がボールをもらえないときに(高橋)快成に頼り切ってしまって、僕が簡単にボールをもらえず、シュートも打てませんでした」と中野は反省点を挙げる。筑波大学戦で23点を挙げたエースに対し、当然マークは厳しくなる。劣勢に立たせる中、流れを引き戻したのが1年生の#5 高橋快成だった。ポイントガードとしてゲームを組み立て、自らゴールを奪い、17-16と追い上げて第1クォーターを終える。
後半開始早々、#41 石川響太郎の3ポイントシュートで日本体育大学がふたたび10点差とリードする。「2ポゼッション差くらいで食らいついていきたかったが、あそこまで離されてしまうといくら攻めても逃げられてしまいます。少し力が足りなかったです」と松藤貴秋監督は悔やみ、67-73で中京大学は敗れた。後半に中野は本来のプレーを取り戻し、最後は怒濤の3ポイントシュートで2点差まで追い上げる。しかし、「前半からそこを出していかなければ、関東のチームには勝ち切れないということを痛感しました」という差が明確になった。
翌日の3位決定戦は日本大学と対戦。準決勝で#3 米須玲音と#51 一戸啓吾(ともに2年)が相次いで負傷退場となった日本大学。それでもタレント揃いの相手に対し、中京大学はこれまでの関東勢との2連戦の経験を活かしていく。特に日本体育大学戦は、リバウンドに全幅の信頼を寄せる#35 ムトンボ ジャンピエール(2年)の存在が大きく、「そこからまわりの選手に走られて、負けてしまいました」と中野は振り返る。日本大学戦は「絶対に負けたくなかったので、全員で守ることを意識しました。自分たちは守って走るスタイル。とにかく全員で守って、全員で走ろうという話はしました」と原点に立ち返り、真っ向勝負する。
チームトップの25点を挙げた中野は、「前半からブレイクを出すことができ、自分らしくドライブからアタックできました。そこは、関東のチームにも通用していると思っていたので、強気でプレーして勝つことができて良かったです」と自信みなぎる表情で語る。ラストゲームは「もう倒れても良い」と覚悟を決め、その言葉どおり終了間際に足がつるまで走り回った。気迫で最後までコートに立ち続け、78-71で勝利の瞬間を味わった。中京大学は3位となり、その名を新たな歴史に刻んだ。