しかし、終盤に離されはじめると、いつもの一色監督に戻る。#8 藤田真優(1年)はベンチへ下げられてしまった。聖カタリナ学園高校出身であり、「高校のときに何度か練習に来ていただいて、技術だけではなくいろんなことを教わりました。大学で監督になり、これからの4年間を一色先生のもとで学びたいと思って進学を決めました」。しかし現状は、「一色先生が求めているレベルと、自分たちの今のレベルは全然噛み合っていないと思っています。本当に全国で通用するチームになるためには、一色先生が求めているレベルまで自分たちががんばらないといけないです」と下を向くが、まだまだ1年生であり、のびしろしかない。
今大会を通じて、全国区を肌で感じる機会となり、「どこまでやらなければ通用しないのかなど、学べることが多いです。勝ち負けよりも、ひとつでも多くのことを学んで、今後に生かしていけるようにしたいです」と藤田は目的を持って臨んでいる。今大会は各4チームを4ブロックに分けてリーグ戦を行い、ベスト4を決める。やり直しが効くリーグ戦だからこそ、「昨日よりはチームとしても個人としても、今日の試合の方が良かったと思っています。ハイポストからの1on1は通用した部分もありましたが、自分よりも背が高い人に対しての攻め方はもっと練習していくべきだと思いました」と課題を明確にしながら、次の試合へ臨めている。
聖カタリナ大学女子バスケ部は新たな歴史を歩みはじめたばかりである。指揮を執る一色監督自らが、「とにかくこの年(60歳)になって僕が一番成長してますよ(笑)」と言い、変化を受け入れていた。
「あきらめるのは簡単ですよ。でも、もしかすると大学でバスケ人生が最後になる子もいるかもしれない。だからこそ、せっかく出会ったこの子たちのために、バスケの良さや楽しさを分かってもらいたいと思って、がんばってはおるんですけどね。なかなか根を詰めすぎてしまって、イライラしてしまうこともあり、自分とどう向き合うかが今は大事だと思ってます(笑)」
聖カタリナ大学として目指すビジョンは、「四国はインカレでもなかなか勝てないけど、戦える選手はいます。少しでも外に出ていく子を引き留められるような大学になれば良いですよね。1人でも地元でがんばろうという子を育てることができればありがたいです。そのためにも行きたいと思ってもらえるようなチームにしたいです」という一色監督の新たな挑戦もまた、はじまったばかりである。
文・写真 泉誠一