全日本大学バスケットボール新人戦のプレ大会が男女ともに開幕した。公式サイトでは「新人インカレ」、プログラムでは「ルーキーズインカレ」と呼称は異なり困惑するが、これから歴史が作られていく新設大会。バスケットLIVEでも中継されており、温かく見守りたい。
四国予選をいずれも20点差以上で圧倒し、全国の舞台に上がってきた聖カタリナ大学は創部2年目のチーム。昨年は2人しか部員がいなかったそうだ。聞き慣れた檄が飛ぶベンチを見ると、そこには一色建志監督の姿があった。
聖カタリナ学園高校、女子U18/U19日本代表ヘッドコーチとして活躍し、その後は2019-20シーズンまでの4年間、アイシンAWウィングス(現アイシン)のヘッドコーチを務める。その後、愛媛に戻り、「なんもしてなかった」そうだ。しかしすぐさま、「健康スポーツ学科ができたので球技の授業でバスケを教えてくれないか」と聖カタリナ大学から連絡を受ける。同時に女子バスケ部を創設する方向へ進み、昨年より森貞弥夕(2年)とすでに辞めてしまった2人だけの部員からスタート。練習はほぼシューティングに明け暮れ、一色監督は「球拾いをしてました」。平行して、今年度へ向けたリクルート活動を行い、1年生を8人迎えたことでチームとして成立し、大会への出場を果たす。四国予選を突破し、この新人インカレにやって来た。
新人戦だが、3年生までエントリーができる。しかし、発足まもない聖カタリナ大学は1年生が主力となる。「とにかく失うものもないですし、相手は3年生までいるけど学年も気にならない。今までであれば、相手のチームを知ってアジャストしなければいけなかったですが、今はとにかく自分たちがすべきことをしなさい、というところからはじまっています」と一色監督は今大会を歓迎し、全てを経験に変えている。
国内でも世界でも、常にトップを争う環境に身を投じてきた。選手も同じ目標を持ち、高みを目指すことで意思の疎通が図れる。だが、聖カタリナ大学は「普通に就職を目指して進学してきた学生たち。授業もあれば、論文も書かなければならない。バイトもしており、いろんなことをしなければいけない大学生活を送っています」と言うように、バスケに専念すれば良かったこれまでとは180度環境が違う。練習も週3日程度であり、基本土日は休み。「ビデオの見方をはじめ、本当に1から教えているところ。こちらの言うことに対して、まだ訳も分かっていなんでしょうね。キョトンとしてしまう(笑)」と、トップで培った指導法がなかなか通用しない。
初戦の北陸大学には52-77で完敗。アウトナンバーを作るためにパスを出す指示を出せば、パスミス連発。その反省点を踏まえた東海大学九州との第2戦は、競った試合展開となる。「ぼちぼちですが、あの感じで持っていくと良いんですわ」とコーチングを少し変えてみた。「細かく指示を出しすぎると止まってしまうので、今日は『おっ、がんばれよ』『ハイポストは開けんなよ』とそれだけ」と選手に寄り添う形に改善し、敗れはしたが59-70と善戦した。