「なかなかジャンピさんのところで得点を重ねることができず、自分たちの強みであるブレイクも出せなかったです。そのときに、自分がプッシュして流れを持って行かなければいけないと思い、第4クォーターの入りからもう一度プッシュし、ドライブしてキックアウトからアウトサイドシュートを打たせることを意識してプレーしました。そのパスに対して、仲間たちがしっかり決めてくれたことで流れを持って来られたという感じです」
後半の巻き返しについて、月岡がこのように振り返ったとおり、連続得点から徐々に点差を詰めていく。#10 早田流星の3ポイントシュートに続き、#26 西部秀馬がスティールから速攻を決め、61-61と振り出しに戻す。残り1分22秒、#41 石川響太郎の3ポイントシュートで64-53、ついにリードを奪った。さらに2連続得点を挙げた日本体育大学が68-63と5点差をつけ、あとは守り切るだけである。
1年生だからこそ、夢中になって勢いに乗れる。その反面、2年生との経験不足は確実にあり、月岡にとっては高校時代までの差も少なからず不安要素であった。残り約11.5秒、日本体育大学ボールによるサイドからのスローイン。しっかりとボールをキープするか、ファウルゲームでフリースローを決めれば、残り時間とともに優勝に近づく時間帯。だが、想定していた最悪のケースが起きた。スローイン時、高さのあるジャンピエールにボールを預けようとパスを出した月岡だったが、日本大学はそこを狙ってスティール。最後は#12 コンゴロー デイビット(2年)が同点シュートを決め、68-68とされて延長戦に突入する。
体力は限界に近づいていたはずであり、「途中で足が痙っていた」と月岡は明かす。だが、それ以上に憧れた選手やレベルが高い相手との戦いに対し、気力の方が上回っていた。11人を投入した日本大学に対し、月岡をはじめ4人の先発メンバーが45分間(早田も42分38秒出場)コートで戦い続けた。日本体育大学の “ファブ・ファイブ” が77-71で勝利し、栄冠と自信を手にする結果となった。
新人王は、強気で3ポイントシュートを決めて活躍した西部が受賞。優秀選手賞には、日本体育大学からジャンピエールとともに、唯一1年生の石川が選出された。同じく、一戸(日本大学2年)、#21 富山仁貴(大東文化大学2年)、#31 小川敦也(筑波大学2年)の5人が受賞した。
7月の全国大会までに、土家は復帰する見込みとのこと。それにより、「控え選手になるとは思いますが、ベンチから勢いに乗せるようなプレーを見せて、チームを活気づけられるようにしたいです」という月岡はさらなる成長を誓った。日本体育大学にとっては、ファブ・ファイブ状態を解消するためにもベンチメンバーの底上げこそが、日本一に向けて急務となる。
文・写真 泉誠一