第71回スプリングトーナメント(関東大学バスケットボール選手権大会)は3回戦まで進み、1部リーグのチームが登場。2部リーグであれば、入替戦やインカレチャレンジマッチで1部と対戦する機会はある。だが、3部リーグ以下にとっては、勝ち進むことで1部の強豪校と対戦できるチャンスが巡ってくる。その挑戦を見られるのが、スプリングトーナメントの醍醐味でもある。
2部や3部のチームが勝ち上がる中、唯一昨年4部だった東京経済大学が1部の専修大学に挑む権利を得た。169cmの鈴木勇衣(3年)は「非常に小柄なチームなので、相手の大きさに怯まずに、しっかりと自分たちのバスケットを貫いて戦おう」と士気を高めてこの試合を迎える。しかし、第1クォーターを終えた時点で23-7。全てがミスマッチとなり、高さで上回る専修大学が圧倒していった。
チームの得点源である鈴木は、「しっかりと中へ切れ込んで行って、得意なレイアップやジャンプシュートを決め切ろうと思っていました。でも、出だしはそこがうまく行かず、アジャストするまでにすごく時間がかかってしまいました」と悔やむ。対する専修大学の佐々木優一監督は、「相手に合わせたら絶対にダメ」と選手たちに伝え、ベースとなるディフェンスとリバウンドを徹底させ続け、比例するように点差が開いていく。
80-36で迎えた第4クォーター、ようやく専修大学の高さなどに対応した東京経済大学は、本来のプレーを取り戻す。「もう勝負が決まってしまって、相手にとっては時間を経過するだけのゲームにはなりました。でも、自分たちは集中力を切らさないで、最後まで戦い抜けたところは自信を持って良いと思います」と鈴木は言い、爪痕を残すようにゴールを奪う。
鈴木は最後の10分間だけで12点を挙げた。「留学生のところはダブルチームで、他はローテーションをしたり、ゾーンディフェンスを敷いたり、工夫して守るようにしていました」と小さくてもなんとか対抗しようと模索する。ラスト3分間、東京経済大学は一方的に連続11点を決めた。しかし、最後は97-59の38点差で敗れ、1部との差を痛感させられた。
「シュート力や決定力の差が大きかったです。我々はレイアップやジャンプシュートを決め切れなかったことが多く、シュートアテンプトも少なかったです。もっと積極的にシュートを打っていければ良かったです」
1部との対戦を経て、明確な反省点が出ることが今後の成長につながる。昨年も3回戦まで勝ち上がった東京経済大学は、1部の大東文化大学と対戦し、118-64の大差で敗れている。だが、この大敗がチームを大きく変化させた。
「当時4年生だった小出(柊也)さんに頼り切ったプレーになってしまっていました。その後、小出さんを活かすプレーはもちろんですが、もっとまわりの選手が積極的に攻める意識を持たなければいけないと感じました。そのきっかけになったのが大東文化大学戦であり、そこが大きかったです」
その後は4部2次トーナメントを制し、3部への昇格を果たした。選手個々の差はあるかもしれないが、「第1クォーターからもっと積極的に攻めていかなければいけなかったです。また、チームとしても相手のブロックを怖がらずに、うまくかわすことも大事ですが、もっとファウルをもらいに行くプレーが大事だと感じました」と鈴木は課題点を挙げ、専修大学と対戦したこのレベルが今シーズンの基準となる。
「今年は2部昇格が目標なので、この試合の経験を踏まえて高い意識を持って、練習から質を高めていきたいです」
6月に予定されている新人戦でも、勝ち上がることでふたたび1部のチームと対戦できる。昨年から主力として出場する2年生の#8天野皓介をはじめ、さらなる経験値を高めるためにも西武文理大学との1回戦を突破し、タレント豊富な日本大学への挑戦権をつかんでもらいたい。
文・写真 泉誠一