“非公式”ながら得点王と3ポイント王の二冠
2年ぶりに開催されたルーキーズトーナメント(第61回関東大学バスケットボール新人戦)は、コロナ禍での開催に踏み切ったため辞退や棄権を余儀なくされたチームも少なくなかった。けれど、幸運にも予定していた全ての試合を消化し、爪痕を残したチームがある。
山梨学院大学。今シーズンは3部リーグに所属していたチームだ。
準々決勝からは1部のチームとの連戦となったが、中央大学とオーバータイムまでもつれる熱戦を演じ、順位決定戦では拓殖大学を破り、日本大学とも互角に渡り合った。この3試合はいずれも1桁点差で決着がつき、結果は6位。確かな手応えを掴んだ。
そんな中、一際輝きを放っていたのが武内理貴という2年生だった。
中央大戦では36得点、全6試合で104得点(平均17.3得点)をマークしたシューティングガードは得点スタッツで大会1位になり、3ポイント成功数でもトップとなる17本を射抜いた。今大会における個人賞は新人王と優秀選手賞しか表彰の対象にならなかったが、例年であれば得点王と3ポイント王ということになる。
本人に聞けば、「中学生の頃からシューター」だと言う。最も自信を持っているのは、思い切り良く放たれる3ポイント。身長は180cmと決して高くはないが、たとえ目の前の敵がシュートの直前まで邪魔をしてきたとしても躊躇なく打ち切り、今大会は44本中17本の成功率で沈めた。
「ハードにディフェンスにこられても、自分の武器である3ポイント、あとはアグレッシブにドライブに行く姿勢を続けた結果かなと思います。こういう舞台で1部のチームとでも戦えることがわかったのが一番大きい経験になりました」
そう言って大会を振り返った武内。ピックアンドロールでの駆け引きも上手いと感じたが、「まだまだです」と本人は首を傾げた。今大会で主将を務め、自分がチームの中心という自覚があるなかでも、やはりそれだけでは上のレベルでは勝てないと改めて気づいたからである。「あまり周りにパスが出せていないので、そこからチームメートに出せたらもっといいバスケットができると思っています」