プレッシャーがかかる場面こそ、楽しさやカッコ良さを追求
3年連続同じカードなったインカレ(第73回全日本大学バスケットボール選手権大会)女子決勝戦。白鷗大学を88-67で破った東京医療保健大学が5連覇を達成した。残り1分45秒、81-65の場面で4年生の#16 髙野柚希と#35 齋藤未来をコートに送り出す。すぐさま齊藤はドライブで得点を決め、最後は髙野の3ポイントシュートで締めくくった。春のトーナメントと秋のリーグ戦を合わせ、今シーズンは公式戦負けなしのまま、全員バスケで日本一へと駆け上がって行った。
インカレにおいて、東京医療保健大学は全5戦をいずれも20点以上の大差で勝利している。だが、チャンピオンに向かって来る相手に対し、けっして楽な戦いではなかった。1回戦の北翔大学戦こそ20点リードして第1クォーターを終えたが、その後の日本経済大学戦と日本体育大学戦は最初の10分間は僅差の戦いを強いられる。#25 伊森可琳は立ち上がりの悪い状況を理解しつつも、「大会の中で成長して行くチームになろうという目標があります。自分たちが一戦一戦を戦って行く中で、昨日の課題を今日クリアし、今日の課題は明日クリアしていって、決勝で最高の状態に持って行けるようにしています」という心の余裕があった。
5年ぶりにベスト4進出を決めた早稲田大学との準決勝、#8 ジョシュアンフォノボ テミトペのインサイドから次々と得点を挙げ、第1クォーターは31-15とリードし、改善が見られる。しかし、得点王の#3 フェスターガード ヤヤと3ポイントシュート王の#23 江村優有の爆発力あるバックコートコンビの勢いに押されるように劣勢となる。前半2度のタイムアウトを使い切り、後半も先に取ったのはリードしていた東京医療保健大学の方だった。白鷗大学との決勝でも第3クォーターに追い上げられ、43-37と6点差まで迫られる。
苦しい状況になったときこそ、「私たちは『この状況がおもしろい』というポジティブなマインドで戦ってきたので、そこは選手全員がぶれずにできました」とキャプテンの#12 木村亜美はリーダーシップを発揮し、チームを鼓舞する。「ミスをしても、すぐに次のプレーに向かって切り替えるマインドを持つことで、引きずらないでどんどんチャレンジすることは練習から取り組んできました」という成果が、大舞台でも臆することなく自分たちの流れを引き寄せ、勝利をつかんでいった。
逆境に立たされても、その先にある楽しさやカッコ良さを追求していったことで5連覇を達成した。それこそが東京医療保健大学の強さであり、恩塚亨監督が求めてきたフィロソフィーである。決勝を戦い終えた恩塚監督は、「今シーズンで最高の試合ができた。いつでもどんなときでもポジティブな気持ちで、やらなければいけないという義務感ではなく、自分自身の内側から沸いてくるエネルギーや笑顔でチームメイトや観ている人たちに良い影響を与えるという思いを常に持ち続けて表現することができた」と選手たちを称えた。