4年間の中で一番がんばってきた証
昨年だけではなく、一昨年前も3位決定戦で拓殖大学には敗れている。いずれもコートで戦ってきた石原は、「特に昨年は先輩たちと一緒に本当に悔しい思いをしました。正直、インカレが終わった後はやる気を失ってしまったくらい無様な負け方でした」と思い返すだけでも苦しい結果だった。その気持ちを晴らすには、インカレでやり返すしかない。今年の4年生は2人しかいないため、必然的に下級生に頼らねばならず、底上げをするためにも「4年間の中で一番がんばってきたので、それが今日の勝利で報われたかなと思います」と満面の笑顔を見せた。
「ねばり勝ち」と勝因を挙げる木村監督。「粘って接戦に持ち込むことができれば、下級生たちにとっては貴重な体験になる」と、寛大な気持ちで1・2年生のインサイド陣の成長を促していた。第3クォーター残り2分23秒で4つ目のファウルを取られた國井だったが、木村監督は続投させる。國井は、「一人では守れないことは分かっていたので、インカレがはじまる前から高さに対する練習をずっとしてきました。5人で守るという目標を立てたとおり、みんなで守ることができました」と自信を得た。第4クォーター残り6分42秒を残して國井はファウルアウトするが、それでもみんなで守り抜いたことが練習の成果である。リバウンドでは、インサイド陣が身体を張り、アウトサイドから飛び込んできた石原が4本、鬼塚と#18 坂本雅は6本を記録し、粘り強いチームディフェンスが勝利を呼び込んだ。
昨年の拓殖大学戦も先発で起用された國井だが、3分30秒しかプレータイムは与えられなかった。1年後、33分17秒に出場時間を延ばし、14点/5リバウンドの活躍で成長した姿を見せた。
「昨年は自分のプレーができず、悔しい部分がありました。今年はずっとスタートで使ってもらっているので、絶対に先輩のためにも勝ちたかったですし、このインカレに全てを懸けて戦っています」
クンバには26点を許したが、「こちらのプランの許容範囲内。最後は、接戦になったら絶対にクンバのところで攻めてくるとは伝えていた。カバーリングはファウルになってしまった部分もあるが、それらも含めて合格点」と木村監督は評価。待望の180cm台である#17 西村春佳(183cm)が加入し、期待を寄せる。延長の最後の場面もコートに立っていた。「少し硬かったが、唯一のうちのセンター。明日の準決勝はやられてもいいから、プレータイムを伸ばして使いたい」とさらに貴重な経験となるビッグマン擁する白鷗大学に挑む。
強気でチームを引っ張る4年生と、この勝利で勢いに乗る下級生の力でさらなる勝利を目指す。石原は自信を持って、準決勝・白鷗大学へ向かう。
「練習は絶対に裏切らない。1年間取り組んで来たことをコートに発揮して、悔いなく終われるようにメダルを狙います」
文・写真 泉誠一