高さに対抗する起動力と勇気
昨年のインカレ(第72回全日本大学バスケットボール選手権大会)女子準々決勝と同じカードとなった拓殖大学vs愛知学泉大学。しかし、昨年とは異なる結果に終わる。40分間では決着がつかず、今大会初の延長戦へともつれ込んで行った。
拓殖大学は、188cmの#23 バイ クンバディヤサン(4年)と185cmの#55 ンウォコマーベラス アダクビクター(1年)のビッグマンを揃える。対する愛知学泉大学のインサイドは、2年生の#74 國井仁奈梨(175cm)と#15 小柳亜結(172cm)、そしてスタメンの中で一番大きな176cmの#22 齋藤利恵はまだ1年生であり、3人のパワーフォーワードで対抗しなければならない。インサイドへボールを放り込めば、それだけで拓殖大学のチャンスとなる。8点リードして第1クォーターを終えた愛知学泉大学だったが、続く第2クォーターでは拓殖大学がどんどんクンバにボールを入れると、あっという間に21-21と同点に追いつかれてしまった。
愛知学泉大学は自信を持つ起動力で対抗し、シーソーゲームが続く。第4クォーター残り5分、クンバの連続得点で57-51とし、拓殖大学が抜け出した。愛知学泉大学は4年生の#2 鬼塚彩乃と#9 石原柚香が走ってかき回し、果敢にゴールへ向かっていく。彼女たちのプレーが、「下級生たちに勇気を与えてくれた」と木村功監督は称え、インサイド陣がゴール下で粘りを見せる。執拗にインサイドにボールを入れる拓殖大学だが、2人、3人と人数をかけてプレッシャーをかけると、本来のタイミングでシュートが打てず、何度もゴールに嫌われた。残り54秒、小柳のシュートで59-58とし、土壇場で愛知学泉大学が逆転に成功。残り35.4秒、クンバに押し込まれた齋藤がファウルを取られる。フリースローをもらったクンバは1本目を外したが、2本目はしっかりと決めて59-59。愛知学泉大学は石原のシュートが外れる。残り15秒でリバウンドを保持した拓殖大学が攻め上がる。オフェンスリバウンドを拾われ、2度ゴールを襲われたがいずれも決まらず、同点のまま延長戦へ突入する。
延長で先制したのは拓殖大学の方だった。しかし、鬼塚と石原の気迫溢れるプレーで追いつき、そして追い越した。69-66でリードする愛知学泉大学に対し、拓殖大学はファウルゲームで時間を止める。残り時間は0.7秒。フリースローをもらった石原は冷静に1本目を決めた。続く2本目は冷静に外し、残り少ない時間を進める。70-66で勝利した愛知学泉大学はリベンジに成功し、2年ぶりにベスト4進出を決めた。