大学日本一を決めるインカレ(第73回全日本大学バスケットボール選手権大会)は、2年ぶりに観客を迎えて開幕。12月6日10時にスタートした男子初戦は、5年ぶりに関東勢が一回戦敗退となった。関西3位の天理大学が68-67の接戦を制し、関東11位の拓殖大学を破って初戦を突破。同じ時間、別会場となる代々木第二体育館では、関西2位の近畿大学がジェットコースターのような試合を繰り広げていた。
昨年のインカレで3年ぶりに関東勢の牙城を破り、ベスト8進出を決めた近畿大学。当時の主力がほぼ残ったまま、迎えた今年のインカレ1回戦は新潟医療福祉大学と対戦。前半からリードを広げ、後半開始3分には48-24のダブルスコアで勝っていた。しかし、新潟医療福祉大学#13 吉田韻希が次々と3ポイントシュートを沈めると、風向きが変わる。10分後の第4クォーター開始3分には、54-52と2点差まで追い詰められた。206cmの#2 カロンジ・パトリックが手堅くインサイドを攻めたことで、リードを広げていく。34点を挙げたエースの活躍で73-59、近畿大学は苦しみながらも初戦を突破した。
ハーフタイム中、スタンドで応援するチームメイトに対し、「東京までトラベリングしに来たのかな?」と首をかしげていた#14 平尾剣弥。昨年も先発で起用されている司令塔だが、「関西と関東の笛が少し違うように感じました」と言い、波に乗りきれずにいた。平尾だけではなく、他にもトラベリングをコールされる。圧倒していた時間帯もミスが多く、地に足が着いていない散漫なプレーでもったいないターンオーバーが目立つ。「チームとして気が緩んでいた部分も正直ありました」と平尾は振り返る。それは、初戦という緊張の現れでもあった。
逆に諦めず、身長差で劣る新潟医療福祉大学は3ポイントシュートで対抗し、ルーズボールを追いかけるなど見習うべきプレーも多い。近畿大学にとっては、目が覚める一戦となった。
「こういうシーソーゲームをしたことによって、もっとハードにプレーしなければいけないことを気付かされました。もし、余裕でこの試合に勝っていたら、気が緩んだままこの状態を引きずってしまっていたと思います。良い教訓としつつもしっかり切り替えて、明日の練習からハードに取り組み、次に向けて準備していきたいです」