チャレンジャー精神で向かっていき、3試合連続2桁得点をマーク
オータムリーグ開幕戦の第1試合、いきなり延長戦までもつれこむ熱戦となった拓殖大学vs専修大学。終盤、ドライブから思い切ってゴールを狙った#8 祝俊成のシュートが外れる。しかし、リバウンドに入っていた#24 ジョフ・ユセフがねじ込む。58-58と拓殖大学が同点に追いつき、延長戦へ。最後は専修大学の2年生、米山ジャバ偉生の活躍で引き離され、64-76で拓殖大学は惜しくも敗れた。
2年前の2部リーグを制し、1部に返り咲いた拓殖大学。昨年、中止となったリーグ戦の代わりに行われたオータムカップでは、12チーム中11位。インカレチャレンジマッチにまわったが、2部で2位となった明治大学に敗れ、たった4試合でシーズンが終わってしまった。
1年生のときはベンチに入れなかった#21 須藤陸だが、今年のオータムリーグでは先発を任されている。もつれた専修大学戦では要所で3ポイントシュートを決めて16点、翌日の大東文化大学戦では22点を挙げ、いずれもチームハイの活躍を見せた。3戦目はスプリングトーナメントチャンピオンの日本大学と対戦し、須藤は17点と3試合連続二桁得点達成。しかし、チームは65-67と惜しくも敗れ、初勝利は次戦にお預けとなった。
「4年生は少ないですが、祝さんを中心に練習中から声を出して引っ張ってくれています。試合に出場する下級生も多く、まだ経験も浅いのでチャレンジャーとして向かっていくだけ。積極的にプレーすることを意識しています」
練習試合では大差で敗れていた専修大学に対し、開幕戦では互角に戦うことができ、「自信にして良いと思います。試合は続いていくので、しっかり気持ちを切り替えて次に向かっていきたいです」という須藤はチームの勝利を信じ、チームのために持てる力を発揮する。
緊急事態宣言が明け、仲間との再会&練習再開「すごくうれしかったし、楽しかったです」
将来に対する目標に対し、まだ2年生の須藤はおぼろげながらも「バスケを続けて行きたい、バスケに関わっていきたい気持ちはあります」。コロナ禍で練習ができなかった期間、「身体面だけではなく、メンタル部分を含めて自分の課題を克服するためのトレーニングをしていました」と言い、成長した姿をオータムリーグでも見せている。緊急事態宣言が明け、個人練習やZOOMでしか会えなかった仲間たちと「またみんなで練習ができたときはすごくうれしかったし、楽しかったです。そこから切り替えて、また良い雰囲気で練習できたことは良かったです」という感覚は、この世代のどの学生たちにとっても忘れられないものになるだろう。
個人練習を強いられていたときのメニューなどを、「継続してきたことが力になっていることは、今日の試合(※専修大学戦)でも分かりました。それはチームメイトも同じ気持ちですし、今後も継続して努力していきたいです」と須藤は言い、チームとして手応えを感じている。
当たり前にあったバスケができる日常が、コロナ禍によって取り上げられてしまった。苦しい状況だったはずだが、須藤は「プラスに捉えてできることをやるしかなかったです」と明るく答えてくれた。コーチ陣やマネージャー、そして仲間たちとともに、常にポジティブな声がけをし続け、その中でできることを考えながらバスケに向き合ってきた。そのせいか、今年の拓殖大学は例年以上にコート外までルーズボールを追いかけ、リバウンドでも食らいつき、気持ちが入ったプレーを見せている。そして何より、楽しそうだ。
コロナ禍により1年遅れでリーグ戦デビューを果たした2年生たち
(1)東海大学 #1 元田大陽
(2)白鷗大学 #2 脇真大
(3)日本大学 #6 野口侑真
(4)拓殖大学 #21 須藤陸
(5)早稲田大学 #13 星川堅信
文・写真 泉誠一