下級生が勢いづけ、15年ぶりにトーナメント優勝
15年ぶりにスプリングトーナメントで優勝した日本大学が、開幕したオータムリーグの軸となる。追われる立場となって迎えた初戦の中央大学は終始競った展開となり、71-63と辛くも逃げ切った。2年生の野口侑真は、「チーム全体として入りが固くなってしまい、自分としてもフリーズしてしまうことが多かったです。自分の仕事であるアタックすることや走ることが、今日は少しできていませんでした」と振り返り、2得点に終わっている。
スプリングトーナメントでは平均9.8点を挙げた野口は、ベスト5に選ばれた。東山高校から特別指定選手として川崎ブレイブサンダースでプロを経験した#3 米須玲音、報徳学園出身の205cm、#12 コンゴロー デイビッドはスプリングトーナメントでは得点王となり、下級生が勢いづけている。2人のルーキーとともに先発を任されている野口は、「米須が加わったことでプッシュし、前にパスが出るようになったので速攻が出せるようになりました。また、セットオフェンスもたくさんのバリエーションがあり、デイビッドのインサイドを使いつつ、外のシューターも生かすプレーができます。攻守ともにバランスが取れていますし、高さもあるチームです」と頼もしい仲間とともに、2冠目を目指す。
スプリングトーナメントでは、決勝で東海大学を破って優勝することができた。しかし、初のリーグ戦に臨む野口にとっては、公式戦で対戦したことがない強豪校はまだまだある。「その中でも、筑波大学や専修大学などとの対戦がすごく楽しみです。同級生には良い選手がいますし、対戦してみたい選手もいるのでそこは意識しています」と自らの力を試す機会が続く。
個人練習しかできなかったコロナ禍を有効活用し、「スキルも身体作りも一緒にレベルアップできた」
「チーム内にコロナ陽性者が出たり、緊急事態宣言によってチーム練習ができない期間がありました」と日本大学での1年間は、個人練習がメインになることも多かった。その間は3ポイントシュートを打ち込み、さらなる将来を見据えたスキル習得に取り組む。
「ピックを使わない1on1であれば、これまでも攻めきる自信はありました。でも、これからプロを目指していくためには、ピックの使い方が大事になってくると思います。そこからのキックアウトパスや、自分でフィニッシュする力を練習していました」
昨年から軒並み大会が中止となり、試合経験を積むことができなかった2年生にとって、コロナ禍はブランクとなってしまったのではないかと危惧していた。しかし、課題に取り組むための十分な時間を得られ、自らと向き合えたことができ、「スキルのワークアウトも、しっかりウエイトトレーニングをして身体作りも一緒にレベルアップすることができたと思います」という野口は、コロナ禍でさえもプラスに捉えている。
スプリングトーナメントでは努力してきた成果が見られ、チームとしては優勝し、個人としてもベスト5に選ばれた。大きな自信になったが、「優勝できたのもチームみんなのおかげであり、過信にならないようにといつも考えています」としっかり地に足をつけて、リーグ戦を迎えた。「二桁得点をスタッツとして残せるようにしていきたいですし、それがこのチームでの自分の役割でもあります」と目標を立て、2戦目ではしっかり13点を記録し、着実にキャリアを積みはじめていた。
コロナ禍により1年遅れでリーグ戦デビューを果たした2年生たち
(1)東海大学 #1 元田大陽
(2)白鷗大学 #2 脇真大
(3)日本大学 #6 野口侑真
(4)拓殖大学 #21 須藤陸
(5)早稲田大学 #13 星川堅信
文・写真 泉誠一