「今から篠山さん以上の努力を積み重ねていけば、絶対に日本代表に入っていける」
前向きに取り組む脇だが、今夏のU19日本代表の最終合宿で落選し、挫折を味わった。早生まれの2年生であり、自信もあった。しかし、「(佐古賢一)ヘッドコーチから見たら全然できていなかったと思われたわけだし、だからこそ落とされたんだと思います」という厳しい結果が待っていた。かのマイケル・ジョーダンも、高校時代にメンバーから外されたというのは有名な話である。順調に階段を上っていた脇にとっても、いきなりステップを外されたのは苦い経験となった。ふたたびその高みを目指すためには、2段飛ばししなければならない。
「あのときの悔しさがあるからこそ、今はレベルアップできているという自信はあります。悔しいですが、今やるべきことは、U19で落とされた悔しさをこのリーグ戦で生かさなければ、今後も佐古さんに見てもらえないし、プロの監督たちの目にも止まらない。つらい思いをしたからこそ、それを乗り越えてどれだけ成長した姿を見せるかがこの場で出さなければ意味はない」
ちょうど同じ時期、篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)がオリンピックメンバーから落選した。トップを走る選手と自分をオーバーラップさせたことで、前に進む勇気をもらった。日本代表として常に若い選手にメッセージを送ってきた篠山キャプテンの思いは、ここにもしっかり届いていた。
「落選した思いを語っていた動画を見て、グッと来るものがありました。篠山さんの言葉を聞いて、自分も同じ気持ちになりましたし、あの年齢であれほど努力していても代表から落とされるということは、まだ自分も全然足りていなかったんだなと思わされました。今から篠山さん以上の努力を積み重ねていけば、絶対に日本代表に入っていけると思います。これを良い経験としなければならないと思い、ひとつの区切りをつけて前に進むことができました」
挫折は人を強くする。同時に、優しくもする。「昨年は思うように試合はできませんでしたが、それ以上に、どうにかして試合を開催してくれることに対して感謝しかありません」と脇は言い、戻ってきた日常で思いっきりプレーすることが恩返しとなる。
コロナ禍により1年遅れでリーグ戦デビューを果たした2年生たち
(1)東海大学 #1 元田大陽
(2)白鷗大学 #2 脇真大
(3)日本大学 #6 野口侑真
(4)拓殖大学 #21 須藤陸
(5)早稲田大学 #13 星川堅信
文・写真 泉誠一