練習できない中でも、バスケのことを思っていなければ成長につながらない
昨年はコロナ禍で軒並み大会が中止となった。リーグ戦の代替として行われたオータムカップ、そして日本一を争うインカレだけに終わる。いずれもトーナメント形式であり、「高校のときと同じような感じでした」という白鷗大学の2年生、脇真大はリーグ戦を待ち焦がれていた。
スプリングトーナメントでは優勝した日本大学に準々決勝で敗れ、7位に終わり悔しい思いをする。「リーグ戦では絶対に優勝しなければいけない思いが強いです」と力を込め、今夏はたっぷり練習することもできた。
「網野(友雄)ヘッドコーチやアシスタントコーチが求めることを徹底し、どうすれば勝てるかを追求してきました。その中でも、ディフェンスからブレイクを出すことがトーナメントでは少なかったです。一つひとつ進化させていき、どんどん走るバスケを出せれば勝てることも確信していますし、そこが白鷗大学の強みです。最初の4連戦が重要だと思っているので、その強みを生かして勝っていきたいです」
感染者が拡大していた今春、白鷗大学にもコロナ陽性者が出て、練習できないだけではなく、隔離期間など当事者として過ごす時期があった。「思うようにバスケができず、つらい思いもしてきました」と脇は振り返り、元田が語っていた東海大学同様に動画を見て、ZOOMを使って仲間たちと話し合うことしかできなかった。しかし、脇はその時間こそプラスに捉えている。
「練習ができない中でも、バスケのことを思っていなければ成長につなげることはできません。この苦しい時期があったからこそ、自分たちの良い部分も悪い部分も細かく把握することができました。トーナメントの反省点も含め、苦しい経験を生かしたリーグ戦にできるように、これからも突き詰めていきたいです。そうすれば、自粛期間も絶対に無駄ではなかったと思えます」
開幕週の2連戦は大東文化大学に57-56、続く専修大学は69-64といずれも接戦を制し、2連勝。2戦とも二桁得点を挙げた脇は、「1年越しにリーグ戦ができ、はじめての経験にはなりますが、もっとチームを引っ張っていかなければいけないという気持ちが強いです。今年は絶対に点を取って、エースとしての自覚を持って今シーズンに入りました。昨年とは気持ちの面で全然違います」とスタートを切る。
しかし、2戦とも勝負を決めたのは4年生の松下裕汰であり、初戦は最後の場面でエースはベンチに座っていた。「不甲斐ないプレーをしてしまいました。チームのエースとして、最後の場面こそコートに立って自分が活躍しなければいけないとあらためて思いました。ファウルトラブルがあり、もっと審判にアジャストしなければいけなかったですし、今日はチームメイトに救われました」と反省する。試合開始から積極的なプレーを見せた脇はどこか気負っていたのかもしれない。初のリーグ戦であり、巻き返すチャンスが次々とやってくる中で、のびのびとプレーしながら成長につなげてもらいたい。