開幕戦で31点を挙げたオータムカップ2部得点王
2年ぶりに、関東大学リーグ戦が開幕した(1部は10月2日より開幕)。コロナ禍であり、緊急事態宣言が発出されているために無観客での開催ではあるが、選手たちにとっては待ちに待った暴れられるシーズンがやって来た。
とどろきアリーナで行われた2部開幕戦を終え、「みんな緊張していました。リーグ戦の怖さを思い出しました」と明星大学の柴山英士ヘッドコーチが言うように、戦い方を思い出すことからスタート。江戸川大学を92-77で圧倒し、白星スタートを切った明星大学の目標はもちろん2部優勝だ。今シーズンは降格がなく、上位2チームが自動的に来年の1部昇格となる。昨年同様、リーグ戦後に2部上位4チームと1部下位4チームで争われるインカレチャレンジマッチが待っている。2部のチームにとっては、チャレンジマッチを勝ち抜き、全国大会への切符をつかみ、そこで強豪校にアップセットすることが目標であり、モチベーションは高い。
コロナ禍により昨年のリーグ戦は中止されたが、トーナメント形式で行われたオータムカップの得点王(平均21.8点)になったのが岡田泰希である。江戸川大学は渡部蒼がフェースガードし、ボールを持てばすぐさまダブルチームで囲むディフェンスで仕事をさせない。前半はなかなかボールに触れさせてもらえず、岡田は5点に終わった。「フェースガードされていても、チームを引っ張るようなプレーをしなければいけない」と語るエースは、後半に気持ちを切り替えてゴールへ向かっていく。第3クォーター開始早々に3ポイントシュートを決めると、本来の姿を取り戻す。終わってみれば31点、3Pシュートは47%と高い成功率で7本を沈めた。昨年に続き、「得点王と3ポイントシュート王(18/47本/38.3%)は狙って行きます」という4年生の岡田にとって、ラストシーズンがはじまった。
昨年はチームとして初となるインカレ出場を果たし、1部の専修大学に69-116で敗れたが、岡田は19点をマーク。今年のスプリングトーナメントでは、東海大学に75-124の大敗を喫した。しかし岡田自身は、準優勝チームを相手に31点を挙げ、「得点を取り続けていくことがこのチームでの役割」とエースとして、またキャプテンとしての自覚が芽生えている。
明星大学のスタイルは、オフェンス重視。終始ゾーンディフェンスを用いているのも、「しっかりリバウンドを取って良いオフェンスに切り替えるため」と柴山ヘッドコーチも明言する。「ディフェンスでやられても、オフェンスでやり返すというメンタルでプレーしています」という岡田の言葉に、今夏のオリンピック・パラリンピックを思い出す。銀メダルに輝いた5人制女子日本代表や車いすバスケ男子日本代表は、ゴールを決められた後こそ、下を向くことなくスピードをさらに上げていた。その潔さ、気持ちの強さは、どこか日本代表の戦いを彷彿とさせる。