目指すは、一つひとつの言葉を大切にするコーチ
東京医療保健大学のポイントガードを務める木村亜美(4年)は、「ガードとしての考え方やプレーに対する技術面もたくさん教えてくださっています」と吸収することは無限にある。そんな木村にとって、「憧れのかっこいい存在」というのが現役時代の“吉田亜沙美”である。そのイメージについては「すごい方というのは分かっていたんですけど、最初はプレーを見ていて怖いのかな…」という印象だったというのも納得である。だが、一歩踏み出して近づけば、「選手たちとも真剣に向き合ってくれて、いろんな相談に乗ってくれます。本当に来てくれてうれしかったし、尊敬しています」とスーパースターとスーパーヒーローたちが融合した。
憧れとして抱いていたのは選手ばかりではない。コロナ禍のために対面取材ができず、用意した質問を学生スタッフが代わりにインタビューして対応してくれた。そのスタッフに聞けば、「登録作業を行っていたときに名前を見つけて、本当に吉田さんが来たんだってみんなで驚いていました」とザワつかせる。
現役時代も、フラリと大学バスケを観戦しに来て、会場をザワつかせていた。そんな大学バスケの印象について、「すごく楽しい青春バスケを見せられていたので、とても魅力的なバスケットができていると思います。今、Wリーグや高校生がフィーチャーされていますが、大学バスケがすごく楽しいということを私自信が伝えていきたいです」と頼もしい。
今大会のおけるチームの目標は、もちろん優勝である。吉田アシスタントコーチ自身の目標は、「選手たちに最高のサポートをできるようにがんばっていきたいです」。目指すべきコーチ像は、「選手のために自分の時間を使ってでも、成長を願っている恩塚さんみたいになりたい。言葉一つひとつを大切にするコーチなので、私自信もそこを目指していきたいです」と明確であり、その手本が目の前にいる。名選手名コーチに在らずとはよく言われることだが、選手としての経験値を自らの言葉で具現化できれば大きなメリットになる。リオオリンピックでアメリカを本気にさせた日本が誇るポイントガードだからこそ、「自分がプレーしてきた経験は伝えることができ、そこは大きな武器になる」と自信を見せた。
5月6日、藤岡麻菜美がシャンソン化粧品シャンソンVマジックで復帰することが発表された。千葉英和高校でのアシスタントコーチを行いながら、デュアルキャリアでの挑戦となる。ならば、同じ道も選択肢としてあるのではないか?
「私が? 私自身はないですね。コーチの道一本で行きたいです」
文・写真 泉誠一