オータムカップに続き突出したチーム力を見せた東海大
第72回全日本大学バスケットボール大会(インカレ)の男子決勝戦は75-57で筑波大を下した東海大が2年ぶり6回目の栄冠に輝いた。圧倒的な強さで優勝を飾った10月末のオータムカップから約1ヶ月、キャプテンの津屋一球、シューター西田優大ら4年生が伸び盛りの下級生たちを引っ張りよりたくましいチームに仕上がった感がある。初戦の星槎道都大戦(101-66)、2戦目の天理大戦(86-62)こそやや硬さが見られたが、続く早稲田大戦(70-52)からようやく自分たちのリズムを取り戻し、準決勝では白鷗大を83-62で一蹴。秋の王者の名に恥じぬ戦いぶりで頂上まで駆け上がった。
今年のチームで最も注目を集めたのは福岡第一高校の絶対的司令塔としてチームを頂点に導き、18歳で三遠ネオフェニックスの特別指定選手となった河村勇輝の加入だろう。「彼は非常にクレバーな選手であり、向上心も強い。コロナ自粛期間は週1回ZOOMトレーニングを行ったり、各自のトレーニングレポートをトレーナーに提出させたりしていたんですが、そこからもまじめにバスケットに取り組む彼の姿が伝わってきました。うちには大倉颯太(3年)という身体能力に長けバスケIQも高いガードがいますが、タイプが違う2人が互いのいいところを出し合うことでおもしろいコンボガードになっていると思います。いずれにせよポテンシャルが高く、メンタルが強い2人のガードがうちの強みになることは間違いありません」(陸川章監督)
河村が先輩の大倉を「颯太」と呼び捨てにするほどプライベートでも仲がいい2人だが、「颯太はゲームコントロールと得点力を兼ね備え、常にチーム全体を見ている。気が付いたことはすぐアドバイスしてくれるし、自分はすごく尊敬しています」(河村)、「勇輝はスキル、メンタルともにとても1年生とは思えない。コロナの影響もあっていっしょに練習できた時間は短いですが、すぐにチームメイトの信頼を勝ち取りました。僕も負けられないなあと思いますね」(大倉)。と、互いを評価することばからも良好な信頼関係が伝わってくる。実際試合中、試合後に大倉がチームメイトを集めて気が付いたことを話す場面は幾度となくあり、それを真剣な顔で聞き、何度もうなずく河村の姿が見受けられた。「負けず嫌いなところと現状に満足しないところも共通点」と、陸川監督が言う2人のガードがこのインカレ優勝を経てさらにどんな進化を遂げていくのか楽しみは大きい。
また、もう1人このインカレで強い印象を残した選手として佐土原遼(3年)の名前を挙げたい。インサイドの柱である八村阿蓮(3年・198cm)には高さでやや劣るものの192cmの強靭な身体でリバウンドをもぎ取り、攻めては内外幅広いエリアで得点を重ねた。昨年までは攻め気がやや空回りしてしまう面も見受けられたが、主軸となった今年は周りを活かす余裕が出てプレーの安定度が増した。決勝戦でマークしたチームハイの18得点、12リバウンドはまさしく成長の証だと言えるだろう。