「一番成長したと言えるのは責任感。スキルや身体の部分ももちろん成長していますが、コート内外での責任感は千葉ジェッツでも学ぶことができました。同じ方向を向いていない瞬間は、本当にチームは強くない。特に今年のチームはみんなが違う方向を向くと、分かりやすいほど良い流れにならなかったです。津屋(一球)キャプテンをはじめとした4年生と一緒に、みんなで同じ方向を向くように言ってきました。常に目標をぶらさずに、タフに毎日を過ごして来られたと思います」
試合中の大倉は後ろ歩きのまま、仲間たちに向かって話しかけ、チームの意志を統一させる。大学から本格的に取り組んできたポイントガードも成長が見られており、その余裕ができた分、リーダーシップやキャプテンシーに磨きをかけてきた。今年のインカレMVPを受賞したことが、成長した何よりの証である。
筑波大学も、今年のインカレを通じて3年生が台頭した。「同じ代の二上(耀)や半澤(凌太)、2年生も良い経験を積むことができ、その中ですごい成長できたことを感謝しています。絶対に来年は借りを返すという気持ちになりました」と井上も手応えを感じており、得るものも多くあった。
大学バスケのシーズンはこれで終わるが、今後は特別指定などでBリーグの門を叩く選手も少なくはない。引退する4年生ばかりではなく、1年生の河村勇輝もふたたびプロの舞台に立つことを望んでいた。プロを目指す大学生にとって、バスケ人生はまだまだスタートラインに立ったばかりである。
文・写真 泉誠一