第72回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)は男子決勝戦を迎え、筑波大学の2連覇を阻んだ東海大学が75-57で勝利し、2年ぶり6回目の優勝を遂げた。
「コロナ禍の大変な中で小松(孝行)ドクターをはじめ、感染対策チームの皆さんが準備をしてくださり、また運営学生委員のみんなも導線を含めて対応していただいたことで今大会ができたこと、またやり終えたことに感謝致します」
優勝会見に臨んだ東海大学の陸川章ヘッドコーチは開口一番、運営スタッフに対して感謝のコメントを残したのもコロナ禍の中で行われた異例のインカレだったことを物語っている。結果として勝敗はついたが、今年に限っては不安がある中でも全力で戦ったみんなに拍手を送りたい。
ディフェンス勝負で前半からリードできたことが勝因
陸川監督は「ディフェンス勝負になる。ガマン比べだ」と発破をかけ、最後の戦いへ選手たちを送り出した。東海大学のアイデンティティーであるディフェンスを発揮し、前半を終えて36-24と12点のリードを奪う。「ディフェンスから流れを作って、前半でリードできたことが大きかったです」と陸川監督はコメントし、これが勝因となった。
「60点台前半の戦い」をゲームプランとして臨んでいたのは、筑波大学の吉田健司監督である。準々決勝から2試合連続で延長戦を制し、勝ち上がってきた筑波大学だったが45分間戦って60点強しか獲れていない。83-62で白鷗大学を破って決勝に駒を進めた東海大学に対し、自分たちのペースに引き込む作戦だった。後半は準備してきたプレーで巻き返しを図るも「うまくいかず、空回りしてしまった」と吉田監督が振り返るとおり、あっという間に20点差まで開かれてしまう。
決勝戦で放った筑波大学のシュート数は67本で、東海大学の63本を上回っている。吉田監督は「最終的には57点で終わっているので、ここ2試合と同じ得点はキープできていた。やはりオーバータイムが続いて足に来ている部分もあり、最後はノーマークのシュートが入らなかった」とそれまでの激闘が少なからず影響していた。連戦を勝ち抜くのがインカレであり、「トーナメントの決勝ではあり得る話」と昨年も経験している筑波大学も理解している。しかし、2度の延長による連戦ははじめての経験であり、山口颯斗は「はじめて試合中に足が痙った」と言うほど、身体が悲鳴をあげていた。満身創痍の中でも、昨年のチャンピオンであるプライドを持って接戦を勝ち抜き、決勝までたどり着いた筑波大学もまた、賞賛に値する。