「自信がついた」中部大学 #12 藤本奈夕
「インカレという舞台ははじめてです。はじめてなのに関東1位の強豪チームと戦うことができ、自分たちの練習してきたことを出せるように挑み、最後までしっかりプレーすることができたのは良かったです」
79-134。初出場の中部大学は第1シードの白鷗大学を相手に、55点もの大差で敗れた。しかし、戦いを終えた中部大学のメンバーは清々しい表情でコートを後にしたのも、今持っている全てを出し尽くした証である。
青木翔菜琳のシュートで初得点が決まるまでに、3分の時間を要した。その間、白鷗大学は9点を奪っている。しかし、得点が動いたことで緊張から解き放たれた中部大学は、練習の成果を発揮していく。「今年のチームは身長が低いので、とにかく走るバスケを目指してきました」と、準備してきたトランジションバスケで点差を縮める。第1クォーター残り3分、1年生の青山美瑛が速攻を決め、17-15でリードした。前半で41点を挙げたことも及第点と言える。白鷗大学のベンチでは、その失点に対して佐藤智信監督が檄を飛ばしていたほどだ。
だが、やっぱり関東1位は「ムチャクチャ強かったです」と藤本奈夕がいうのが正直なところでもある。「コートでも、ベンチで見ていてもすごいなと感心する部分があり、学ぶことも多かったです」という印象を受けた。この経験を糧とし、「これからも中部大学らしく、またインカレに戻って来られるようにがんばって欲しいです」と残る後輩たちへメッセージを送った。
藤本は、名の通った中部第一高校出身である。しかし、全国区の強豪は男子チームの方であり、女子チームは愛知県ベスト4止まりで目指すべき舞台に立てずにきた。「人生最後のバスケで全国大会に出場でき、しかも関東1位と試合ができて、本当に良かったです」と話す藤本は、バスケに懸けた青春はここで幕を閉じる。
「4年間は長かったですけど、大好きなバスケを大学まで続けられたことがうれしいです。最後にインカレに出られたことは本当に良い経験になったし、思い出になりました」
全国の舞台に立てたことで、「自信がついた」と藤本は胸を張る。1試合しかできなかったが、そのために積み上げた年月は計り知れない。
「全てにおいて努力してきたことが達成し、それが自信にもなりました。バスケ以外でも、自分に自信を持ってこれからの人生を進んで行きたいです」
文・写真 泉誠一