第72回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)に出場する男女各32チーム中、初出場校は男女各2校だった。男子はチャレンジカップを制した関東2部の明星大学と北信越チャンピオンの北陸大学、女子は中部大学と静岡産業大学がそれぞれ、初のインカレに臨む。初日に、北陸大学と中部大学がはじめての大舞台に立った。
「最高です」北陸大学 #20 近藤将貴
無観客試合もなんのその、両ベンチが声援を送り続け、コート上の選手たちは雄叫びを上げる。福岡大学vs北陸大学は熱く、賑やかな戦いとなった。立ち上がりからリードを奪ったのは、初出場の北陸大学。第1クォーターに5本連続3Pシュートを決め、度肝を抜いたのが近藤将貴だ。「みんながしっかり気合いを入れて、気持ちも入って試合に臨むことができていました」と話すように、22-5とスタートダッシュに成功する。インカレに向け、「みんなでチャレンジャー精神を持って、日本一おもしろいバスケを展開しよう」というコンセプトどおりのプレーを見せてくれた。
49-34、北陸大学が15点リードして折り返す。しかし後半は「経験のなさが出てしまった」と近藤が悔やむ展開に変わっていく。執拗にオールコートでディフェンスを仕掛けてきた福岡大学に対し、北陸大学の得点が止まる。第4クォーター開始早々、福岡大学は青山晃也が3連続得点を決めて62-62、ゲームは振り出しに戻る。勢いを止められずに逆転を許すと、追う立場となった北陸大学の平常心が失われていく。最後まで食らいついたがその後は追いつくことなく、73-77で初勝利をつかみ損ねてしまった。
「オールコートプレスに引っかかってしまって相手に流れを持っていかれたところを、自分たちでどうにか流れを変えなければいけないのに自分たちが追い込まれてしまいました。やっぱり、経験のなさが今回の敗因だったと思います」
そう肩を落とす近藤だったが、これが初の全国大会だった。「これまでは動画でしか見たことがない」という夢舞台に、ようやくたどり着いたからこそ、前向きな現実を見ることもできた。
「コート内に出ているメンバーが、最後まで声を出し切らなければいけなかったです。上級生としての意識をもっと持って、下級生を引っ張ってまた来年もここに戻って来て、今回よりも良いパフォーマンスができるようにしたいです」
近藤はチームハイとなる25点を挙げ、同じく3年の浅田祥希も22点で続く。「4年生のためにもインカレに出場する」ことを目標としていた今年だが、来年は彼らが最終学年となる。はじめてそのコートに立ったインカレは「最高です!」と元気に応えてくれた。次は初勝利をしっかりとつかんで、最高を更新してもらいたい。