「完膚なきまでやられてしまった」
「オータムカップ2020」決勝を終えたあと、総評を求められた大東文化大学の西尾吉弘監督はこのひと言でまとめた。79-47、32点もの大差をつけて勝利した東海大学が優勝に輝いた。インサイドからゴリゴリと身体を張った佐土原遼(3年)が20点、ポイントガードの大倉颯太(3年)も16点を挙げ、勝利に貢献する。30社に及ぶメディアの視線を集めた河村勇輝(1年)らベンチメンバーがコートに出た瞬間から活躍し、チーム全員で勢いづけた東海大学が圧倒した。
立ち上がりこそ、大東文化大学もディフェンスを成功させてチャンスを作っていく。しかし、シュートの精度を欠いたことで徐々に集中力が削られ、「普段は感じられないプレッシャーがあった」と西尾監督が言う東海大学の堅守の前に、自分たちのプレーを見失ってしまった。第2クォーターには先発出場していた中村拓人が手首を負傷し、2年前のウインターカップ決勝以来となる河村とのマッチアップを楽しみにしていたが、早々に戦線離脱するアクシデントにも見舞われた。終始ベンチから「慌てるな」と落ち着かせようとする西尾監督だったが、「どこかで打開しなければいけないと思い、個に走ってしまった部分があった。声をかけてはいましたが、なかなか今日は切り替えることができませんでした」。
短時間でもやるべきことを徹底すれば力になる
チーム最多となる13点を挙げた大東文化大学の星野京介(3年)は14点ビハインドで迎えた後半、積極的なプレーで追い上げの起点となる。第3クォーター開始早々、その星野の3Pシュートで10点差に迫る場面もあった。キャプテンの飴谷由毅(4年)とともに、副キャプテンとして「自分のプレーやチームの状況が悪くても、常に声を出してチームを引っ張ることを心がけていました」と諦めることなく戦い続ける。
東海大学のガード陣に対し、「ピック&ロールの精度がすごく高いので、そこに対するディフェンスも対策をしてきました。でも、徹底することができず、逆に相手は自分たちのバスケットをやりきったところで差が出てしまいました」という星野もまた、完敗を認めた。