フリオ・ラマスヘッドコーチが日本代表に就任後、ポジションアップやサイズアップしたコンバートがトレンドになっている。世界を見渡せば、ポジションレスが主流でもある。Bリーグでは、今シーズンよりベンチ入りできる外国籍選手が増えたこともそれに拍車をかけている。未来のBリーガーや日本代表を目指す高校生や大学生は、チーム内では高身長の選手であってもアウトサイドでのプレーを志願し、コーチたちも積極的に起用するケースが増えてきた。
「日本全体の意向であり、自分もチャレンジ」飴谷由毅/大東文化大学4年
大東文化大学4年、190cmの飴谷由毅は昨年からガードポジションへのコンバートに挑んでいる。コロナ禍により練習期間が限られる中でも、西尾吉弘監督の指導の下、そのスキルを身につけてきた。初の公式戦となったオータムカップ2020での日本大学戦(71-57で勝利)を経て、「やっぱりまだターンオーバーも見られます」と課題が浮き彫りとなったが、実戦を通じて経験値を高めていくしかない。それでもディフェンスでは、7cm低くスピードもある日本大学3年の高原晟也とマッチアップし、攻撃の芽を潰す場面も見られていた。
「自分の持ち味はディフェンスから走っていくことであり、そのイメージで取り組んできています。自分より小さい選手をマークするためには脚力が一番大事だと思っていますし、練習中から意識しています」
「大きい選手がボールを運ぶことが日本全体の意向であり、自分もそれにチャレンジしています」と考える飴谷にとって、ポジションアップは必然と言える。大学生だけではなく、「Bリーグにも、日本代表にも同じような身長の選手はいっぱいいます。その中で技術やディフェンスひとつ取っても、他の選手よりも長けていなければいけないと思っています。個人としてもチームとしても、そこを目指して練習していますし、上回る気持ちがないと今後の成長の糧にもなりません」と覚悟を持って取り組んでいる。
一方、インサイドを担う留学生たちを休ませる機会やファウルトラブルになれば、190cmの飴谷はポジションを下げて対応しなければならない。
「1番(ポイントガード)〜4番(パワーフォワード)までできるスキルが、今後を見据えても必要になってきます。マークマンが自分よりも低ければ、どのポジションでもポストアップを考えていかなければいけないです。選択肢を自ら増やすことで今後にも良い影響をもたらせると思っていますし、自分にとっての成長や良い刺激になっています。これからも取り組んでいき、その質をもっと高めてチームの勝利に還元できるような選手になっていきたいです」
恵まれた体躯を最大限生かし、貪欲に多くのことを吸収しながら、世界基準を目指す。