「春(スプリングトーナメント)にはじめてタイトルを獲ることができ、すごく手応えを感じていた中でケガ人が出てしまった」と網野友雄ヘッドコーチが振り返るように、今シーズンの白鷗大学は不運が続いた。幸先良くスタートしただけに関東大学リーグ戦は期待されたが、結果は7位。ディオップ・マムシェッハイブラヒマ(延岡学園高校)、荒谷裕秀(東北高校)のインサイドを欠き、リーグ戦中は195cmの星野曹樹(帝京長岡高校)もケガで不在の時期があった。「リーグ戦はすごく苦しみながらもそれを言い訳にせず、常に自分たちにマインドを向け続けてくれた。前田(怜緒/東北高校)や中川(綸/東海大相模高校)など日替わりヒーローが出てきたのもすごく良かった」と網野ヘッドコーチは選手たちの成長を実感している。
スプリングトーナメントの決勝戦で負傷した荒谷は、その直後に手術することを決断。「リーグ戦には出られなかったですが、インカレに間に合わせるためにリハビリをしてきました」と最後の舞台に帰って来た。
シェッハのために ── を合言葉にチームの結束力を高める。2回戦、早くも同じ関東勢との対戦となった神奈川大学戦は、「リーグ戦で1勝1敗だったので、勝てるかどうか分からない相手でした。でも、自分が復帰したからには確実に力になりたい」という荒谷はスタッツには残らないが、大事なチームプレーを全うする。「ディフェンスが中に集まってくるので、そこからパスをさばいてチームのみんながシュートを打ちやすいプレーを目指していました」と勝利に貢献する。
関東2位の青山学院大学に72-71で競り勝ち、準決勝進出を決めた。「粘り強さが1シーズンを通してついてきた結果。一番成長したのが、ビハインドになっても20〜30点と開かないところ。10点前後のところで盛り返せる力が伸びた」と網野ヘッドコーチは評価し、厳しいシーズンだったからこそ、その苦労が最後に成果として現れていった。