少しずつペリメーターにも慣れてきた
筑波大学が日本一になって、今年のインカレは幕を閉じた。特別指定選手が発表されはじめており、今後の大学生たちの動向が気になる季節の到来だ。
「昨シーズンまでは4番でした」という193cmの増田啓介(福大大濠高校)は、4年生になった今シーズンはスモールフォワードへとひとつポジションを上げる。筑波大学は森下魁(明徳義塾高校)、三森啓右(札幌日大高校)、井上宗一郎(福大大濠高校)と2mのビッグマンを揃える。今シーズンがはじまったとき、吉田健司ヘッドコーチは彼らのうち2人を同時に起用する“ビッグ・ビッグ”のシステムを準備してきた。しかし、インカレがはじまると「たまたま我々の対戦相手は大きいチームではなかった」ことで通常ラインナップでの戦いが続く。しかし、専修大学との決勝戦だけは違った。「相手は西野(曜/近大附高校)とアブ(フィリップ/アレセイア湘南高校)なのでビッグラインナップを使った。それでうまくディフェンスは対応できた」と吉田ヘッドコーチが話すように、準備してきたことが最後の場面で機能する。
「3番ポジションを経験させてもらい、まだまだ未熟ですが少しずつペリメーターにも慣れてきたと思います」という増田は、決勝戦で5本中3本の高確率で3Pシュートを決め、21点を挙げた。「インサイドにはほとんどのチームに留学生がいますが、井上や森下、三森が本当に身体を張ってがんばってくれました。なので、彼らを信じてしっかり自分のプレーをすることができました」と、アウトサイドでのプレーに専念したことでパスも冴えた。インカレではアシスト王を受賞し、増田自身が驚いている。
オフェンシブな専修大学に対し、「相手に合わせてシュートの入れ合いにならないように、しっかりとディフェンスからブレイクという形を40分間続けられたことがこの優勝につながったと思います」という勝因どおり、増田はディフェンスからリバウンドを拾い、そのまま速攻で持ち込む力を決勝でも見せた。
日本一にはなったが、個人としては「本当にまだまだなので」と謙遜する。「自分の足りない部分を磨いて、プロでも通用していけるような選手になりたいです」と次のステージへと向かう。Bリーグができたことで、プロを見据える大学生は本当に多い。増田もその一人であり、ビッグマンを多く擁する筑波大学だからこそポジションアップして準備し、プロへの助走をつけることができた。