「僕は高校まで全国大会に出たこともありません。それでも少しずつ4年間一生懸命がんばってきたことで、関東のチームを相手にも接戦まで持っていくことができました。最後は負けてしまいましたが、ひとつ大きなものを得ることができたと思っています。何をするにも全力で、これからも取り組んでいきたいです」
大学バスケでもなかなか陽の目を見ることなく、2年生まではほぼ試合に出ることがなかった。ようやくコートに立てた3年次も、試合が決まったガベージタイムだけ。「本当に試合に出始めたのは今年からです。王や鈴木空が自主練習やトレーニングをしている姿を見て、全国を経験してきた仲間たちの背中を追って努力してきたことで、自分も成長できました」とその環境と仲間たちに感謝する。努力はけっして裏切らない。最後のインカレは先発を任され、相手のエースを封じる大役を全うした。
「小酒部君を止めることができればチームが勝てると思っていました。また、プロを目指している自分にとっても、彼を止めれば関係者の目に止まるという思いもありました。チームも勝てるし、自分も目立つ。相手は3年生なので、4年生の意地を見せてなんとかしたいという気持ちはありましたが、ちょっと厳しかったですね」
結果は残念だったが、少なからず目立つことはできた。「神奈川大学の選手たちはボールを持たせないディフェンスを徹底していました。今後プロに行くためにも、後輩たちにとってもあのディフェンスを真似しなければいけないです」と敗れた中でも吸収することは多くあった。関東のチームと対等に戦えたことを自信に持ち、「今後の伝統として打倒!関東、ベスト8進出を成し遂げられるチームになって欲しいです」と後輩たちに託す。プロに挑戦することを明言している泉もこの経験を生かし、「1月のトライアウトを視野に入れながら、これからも自主練習していきます」と次へのステップを踏み出した。
文・写真 泉誠一