入学が決まったときから掲げた目標「1部でプレーしたい」
2年前、東洋大学は2部最下位の10位に終わった。3部1位の上武大学と対戦し、2連敗している。だが、その年は1部も2部も12チームに増えるリーグ再編があったことで、2部に踏み止まることができた。最下位となった年に入学してきた田代は「誰が悪いというわけではないですが、入学したときのチーム状況はすごい悪く、どん底まで落ちてしまっていてメンタル的にも厳しかったです」と前途多難だった。佐藤コーチを迎え、チームが一新した昨年だったが、ケガのためにプレーできずに終わる。田代にとっては今シーズンに懸ける思いは強く、誰よりもバスケも、勝利も渇望していた。
東洋大学に合格した桐光学園3年のときから「1部でプレーしたい」と目標を掲げる。入替戦まで来たことが快挙と言える歴史の中で、そこまで高い意識を持つ選手は珍しいとさえ感じる。だが今回、本当にそのドアを叩くところまでたどり着いたのも、同じ目標を共有する仲間が増えたからに他ならない。この経験と悔しさを味わった東洋大学は新たなページを開いた。
しかし、「来年はすごく小さくなります」と田代は現実を見つめている。201cmの#24 ラシード・ファラーズ、190cmの#38 福井歩、加藤も188cmあり、存在だけではなく身長も大きかった4年生がこぞって抜ける。佐藤コーチも「来シーズンは危機感しか持っていません」と早くも気を引き締めていた。「この悔しさ、神奈川大学が喜んでいた姿をしっかり目に焼き付けておいて欲しいです。来年は同じようにはいかないと思っていますが、学生を信じてまた練習してきます」と続け、この経験を生かさねばならない。
「それでも、来年はもっと強いチームを作ることができると思っています。2部3位とは言わず、(2位以上となる)自動昇格を狙っていきたいです」と田代は前を向いた。同じ目標を持ち、チームが一枚岩となって戦っていけば身長差など簡単に凌駕できる。その戦い方を示してくれたのが、神奈川大学であり、見習うべきことは多い。来年4年生になる田代にとって、1部でプレーする目標はすでに適わない。だが、最後に1部昇格をつかめば、日本一を争うインカレに出場することはできる。「絶対に出たいです」と新たな目標へ向かう。
1部vs2部入替戦のもう1試合は、アドバンテージのあった早稲田大学が、2部4位の国士舘大学に74-66で勝利。1部残留とともに、仕切り直しの日本一決定戦への出場を決めた。そのインカレ(第71回全日本大学バスケットボール選手権大会)は11月16日(土)に組合せが行われ、12月9日(月)より東京都で開幕する。
文・写真 泉誠一