『試合に出られなくても諦めずに努力し続けること』を今後の東洋大学の伝統に
関東大学2部リーグは8試合を終え、東洋大学は4勝4敗(9月18日現在)で9位タイ。3〜9位まで勝率5割が7チームとひしめき合う混戦状態である。今春、佐藤信長ヘッドコーチは「ラシードがいる今年が勝負」と言い、1部昇格に望みをかける。直近の2試合は、1部から降格してきた拓殖大学(現在2位)に57-64、1部返り咲きを狙う中央大学(現在1位)にも67-73と、敗れはしたが僅差のゲームだった。
上位チームとの最初の対戦を終え、「第4クォーター残り3分から、自分たちは少し消極的になってしまいました。でも、相手はどんどんリングにアタックし、自分たちは守る一方になってしまって全然攻められていなかったです」とその差を痛感する。しかし、悔しさとともに少なからず手応えも感じていた。
「信長さんが来て2年目ですが、今年はすごくチームとしてのまとまりが良く、それはチーム全員が感じています。たぶんこの4年間の中でも一番良いチームに仕上がっていると思いますし、1部昇格に向かって戦えています」
1部を経験している上位チームとは、勝負どころの経験の差や伝統の重みが勝敗にも表れてしまった。4年生にとって、1部昇格という最高の置き土産を目指しつつも、「ひとつでも良いものを残して引退したいです」とラシードは言い、東洋大学の新たな伝統を切り拓く。一番残したいことは、自らの体験でもあった。
「1、2年生の頃はBチームにいて、全然試合にも出られなかったですが、それでも絶対に諦めなかったです。絶対に試合に出て活躍するんだ、何でも良いからチームのために貢献したいとずっと思っていました。試合に出られなくても、Bチームにいても、1日も欠かさずにハードワークを続けてきました。2年前までは全然フィジカルもなく、今もまだまだですが、そこも毎日取り組んできましたし、そういった積み重ねがあって今の自分があります。後輩たちには、諦めずに努力することだけは続けて欲しいです。努力が報われない時間は絶対にあります。僕も2年生までは全然報われなかったです。それでも、自分が好きなことに全てを注げば、いつかは報われる。それを残したいです」
それ以外にも、日本代表で学んだワークアウトや多くの刺激を受けた取り組む姿勢など経験した全てを共有し、チーム力向上に注いでもいた。