まずはチームにどう貢献できるかが今は一番大事
第59回関東大学バスケットボール新人戦「ルーキーズ・トーナメント」の決勝が行われている最中、新人王は誰か?と隣り合わせたメディアの方々と予想し合う。リードする東海大学は、令和最初の黄金世代と言って過言ではないほどタレント揃いの2年生の活躍に対し、1年生はまだまだその影に隠れていた。対する専修大学は、喜志永修斗が1年生ながらスタメン出場し、チームを引っ張る。長年取材する記者が記憶の糸をたぐり寄せ、篠山竜青(日本大学〜現・川崎ブレイブサンダース)や鵜澤潤(日本体育大学〜現・新潟アルビレックスBB)が準優勝チームから選出されたケースを引き合いに出す。結局、結論が出ないまま試合は終わり、新人王発表の時間がやってきた。順当にチャンピオンチームの東海大学から松崎裕樹が選出された。
「そんなに活躍できなかったですが、チームが優勝できたので良かったです。新人賞は先輩やチームメイトのおかげで獲れたと思っています」
スタッツが公表されたベスト16以上の対戦で、16点と二桁得点を挙げたのは準々決勝の関東学院大学戦のみ。その試合は最長となる16分間出場した。それ以外は4点以下に終わっている。同じく1年生の張正亮(東海大諏訪高校出身)は、八村阿連や佐土原遼がファウルトラブルとなった準決勝・日本体育大学戦で26分31秒間出場し、8点を挙げてしっかりつないでくれた。
「高校のときから仲良くしていますが、ライバル視もしている選手たちばかりなので、そこには負けられない気持ちは強いです」という松崎は、周りの1年生の活躍を意識する。しかし、まばゆい2年生たち黄金世代の前では、まだまだ輝くのは難しい。「他のチームの選手ばかりを意識してしまうと個人プレーに走ってしまうので、まずはチームにどう貢献できるかが今は一番大事」と考えていた。
「ひとつ上ですが、それでも上級生たちと変わらない実力を持っています」というのが2年生に対する印象だ。「練習中から常に高い質を求めて取り組んでいます。良いお手本であり、超えていかなければいけない存在です。見習いつつも1年生は2年生を超えていきながら、自分たちのバスケットを作っていきたいです」と他チームよりも、まずはチーム内の競争に勝たなければならない。同じ長崎県出身の田中大貴(アルバルク東京)に憧れ、練習中からレベルアップできる場を求めて、松崎は東海大学にやってきた。