「声とディフェンスでチームを鼓舞するキャプテンでありたい」(#2中川綸)
自分はプレーは全然うまくないので、その分、声を出すことやディフェンスでチームを鼓舞することを意識してやってきました。うちは明るいメンバーが揃いワイワイ系のチームなんですが、一度雰囲気が悪くなるとそれを引きずるところがあるんですね。それを変えるのが自分たちの代の課題だと思っていて、練習で雰囲気が悪くなるとみんなを集めて「こんなことじゃ勝てないぞ」みたいな話をするようにしました。去年のトーナメントのときから監督が落合さん(嘉郎・現仙台89ERSアシスタントコーチ)から網野さんに変わったんですが、落合さんが0から100まで細かく言ってチームをまとめるという監督だったのに対し、網野さんはまず自分たちで考えてみろという監督。どちらがいいとかそういうことではないですが、少なくとも今年のチームは自分たちで考えて、悪いところは自分たちで変えていこうという力がついてきたように感じています。東海大に勝ったときもこれまでの自分たちならそこでちょっと気が抜けてしまうところがあったのですが、この大会では「東海に勝ったことで慢心せず、さらに気を引き締めて行こう」と、みんなが考え、次の専修大戦に向かうことができました。決勝の筑波大は個々の能力が高くて、どちらかというと苦手なチームですが、うちには走力があるので上で勝てないなら走って勝とう、ディフェンスをしつこく頑張ろうと話し合いました。今日はそれができたと思います。この優勝はめちゃくちゃ嬉しいし、めちゃくちゃ大きいものだと思っていますが、ここで満足することなく、これからはディフェンスの強度をより高め、オフェンスではまだ小さなミスが目立つのでそこを修正して、ターンオーバーの少ないチームを目指したいきたいです。
「どのチームにも負けるイメージは持ってなかった」(#77前田怜緒)
大会の目標はもちろん優勝でしたが、そのためには東海大を倒さなければならないので、まずはそこに目標を置いて練習してきました。世間の人は絶対東海が勝つと思っていたと思いますが、僕たちには負けるイメージはなかったです。粘り強いディフェンスというのはこれまでの先輩たちが築いて年々受け継がれてきたものですし、今年もそれをしっかりコートで出そうとキャプテンの中川がめちゃくちゃ頑張っているのを見て、同じ4年として自分も奪い立つものがありました。離されそうになるたびにコートで声かけあって踏ん張れたと思います。自分はディフェンスでもオフェンスでもハードにやり続けることを自分に課していますが、2年生のときから試合に出させてもらって、先輩から吸収したこともたくさんあるのでそれを下級生たちに伝えるのも仕事の1つだと考えています。4年生が牽引できないチームは勝てないと思うので、これから秋、さらにインカレに向かって自分自身のレベルを上げていけるよう頑張っていくつもりです。
決勝戦を戦った筑波大の吉田健司監督は、試合の途中で白鷗大を指して「相手の方が速く走っている。一生懸命プレーしてるぞ。もっと相手をリスペクトして、その上を行くことを考えろ!」と、選手たちに檄を飛ばしたという。それでも1度奪われたリードを覆すことはできなかった。吉田監督が敗戦後に口にしたのは白鷗大への賞賛のことばだ。「白鷗は武器であるスピードを最大限に生かし、うちが追い上げたときも一歩も退かなかった。大会を通してトランジションバスケットを貫いた戦いぶりは見事であり、立派だったと思います」――
文 松原貴実
写真 バスケットボールスピリッツ編集部