新チームになって間もないスプリングトーナメントはいずれのチームもまだ発展途上の段階。その中で持ち味であるトランジションバスケットに徹し、どこよりもチームの“色”を打ち出したのが白鷗大だ。加えて劣勢時に我慢し、押し返す粘り強さが光った。第一関門となった東海大戦では4Q残り3分に6点のビハインドを背負いながら、#2中川綸の連続3ポイントシュートで流れを呼び込み63-58で勝利。決勝の筑波大戦もまた4Q残り6分に3点差まで詰め寄られるも、あわてることなく#77前田怜緒の3ポイントシュートで突き放した。昨年のインカレの覇者東海大も大会4連覇を狙う筑波大も今大会の優勝候補に挙げられたチーム。そこを連破しての優勝はまさに文句なしの『春の王者』と言えるだろう。
本格的にチームの指揮を執り2年目の網野友雄監督、キャプテンとしてチームを牽引し優秀選手賞に選出された中川綸選手、そして、苦しいときこそ果敢に攻め、最優秀選手賞に輝いた前田怜緒選手に大会を振り返りつつ、優勝の喜びを語ってもらった。
「選手たちは常に攻め気を持って戦ってくれた」網野友雄(白鷗大監督)
うちの選手たちは高校時代までそれほどキャリアがあるとは言えませんが、ちゃんとやることをやって、攻め気を持って臨めばいいゲームはできるとずっと言い続けてきました。今大会は順当に行けば準々決勝で当たる東海大学戦に照準を合わせて準備してきましたが、競り合いながらも最後の最後まで我慢できたのが大きかった。その我慢が勝負どころの3ポイントシュートにつながって勝ち切れたことはチームの自信になったと思います。その勢いもあって専修大との準決勝は予想外のリードを奪うことができたのですが、後半、相手がプレスを仕掛けてきたとき浮き足立って一気に詰め寄られました。けれど、そこで踏ん張れたのは東海大戦で“我慢”を経験していたからです。決勝の筑波大戦も同じ。筑波大のディフェンスのプレッシャーの強さはわかっていましたが、やはり追い上げられたときには自分たちのバスケットを見失う懸念がありました。が、そこであわてずにすんだのは専修大戦の『浮足立った』経験があったからです。そう考えると、1つの試合が次の試合につながって、優勝にたどり着いた大会だったと言えます。このチームがステップアップするために必要だったのは何でもいいから1つタイトルを取ること。それが達成できたことはチームにとって非常に意味があることで、必ず秋につながるものだと思っています。