ポジションにこだわらない197cmのメリット
牧のケガがあったことも、村岸にチャンスが巡ってきた要因である。もう一つ、吉田ヘッドコーチはビッグマンを2人同時に起用する“ビッグ・ビッグ”のシステムをトーナメント直前まで準備していた。しかし、井上宗一郎(2年)のケガや森下がスプリングキャンプで不在だったことで時間が足りず、練習試合では「すごく重くなってしまって、ディフェンスでのトラブルにもつながってしまった」ことで大会直前にやり直しとなった。4番ポジションとして白羽の矢を立てたのが村岸である。「インサイドとアウトサイドの両方ができるので4番として起用し、それが逆に良い方向に進んでいる」とチームとして新たな収穫を得られた大会となった。
“ビッグ・ビッグ”のシステムはリーグ戦へ向けて、今後も強化を継続していく。「そうしなければ、我々のメリットが見えてこない。白鷗大学の走るバスケットで今回は負けたので、高さを生かしたバスケットをしていかないと差別化はできない」と吉田ヘッドコーチは、豊富なタレントを余すことなく起用できるスタイルの確立を目指す。
「筑波はペリメーターのラインナップが大きいというのが強みです」という197cmの村岸もその一人だ。ともに201cmの「三森(啓右/3年)と井上がもう少しレベルアップし、ビッグ・ビッグで生かすことができればもっと2番、3番の控えが厚くなって選手を回していける」と吉田ヘッドコーチは考えている。
今回は4番で起用されたが、村岸自身はポジションにこだわりはない。「ディフェンスでスイッチをできたり、オフェンスのエントリー時にどのポジションでも入れる」メリットを生かし、チームの勝利に貢献するだけだ。リーグ戦でもスタメンの座を勝ち獲るため、チーム内の激しい競争がはじまる。
文・写真 バスケットボールスピリッツ編集部