キャプテン代行で目覚めた自覚とリーダーシップ
昨年のインカレでの平均出場時間は10分にも満たず、1ゴール上げるかどうかの働きだった。しかし4年生になった今シーズン、スプリングトーナメント(第68回関東大学バスケットボール選手権大会)では筑波大学のスタメンに抜擢される。プレータイムは平均20分以上に倍増し、平均8得点を挙げた。4年生になった村岸航が、その存在感を示しはじめている。
村岸は名門・浦和高校出身。バスケではピンと来ないかもしれないが、毎年のように東京大学へ多くの生徒を輩出する秀才ぞろいの進学校だ。197cmの恵まれた体格を持ち、高校3年次はU18日本代表に選ばれ、バスケの面でもその才能を見出される。大学チャンピオンの筑波大学において1年目からベンチ入りを勝ち獲り、少しずつ経験値を上げてきた。
「2月からこのトーナメントまでの期間ですごく成長してくれた」と吉田健司ヘッドコーチの期待に応える。キャプテンの牧隼利がケガをし、増田啓介と森下魁はスプリングキャンプへ参加していたため、ベンチ入りする4人の4年生のうち村岸しかいない期間が長かった。キャプテン代行を任されたことで「自覚とリーダーシップを持った行動が出てきて、それが今回のプレーに現れてきた」と吉田ヘッドコーチは評価する。スタメンで起用されたことで、「最初からガツンとやらなければいけない役割になったことは自覚していました」という村岸は積極的にシュートを狙い、平均44%と高確率で決めていく。「出だしは良かったのですが、中盤にシュートが入らなくなったり、チームの流れが悪くなったときに4年生として打開できなかったです」と持てる力を出したからこそ、課題点が明確になった。
「ディフェンスの部分でチームとしての課題がかなり出ました。オフェンスでも決勝は全然得点が入らず、自分自身の得点パターンを増やしていかなければいけないですし、チームとしても個々の役割を増やす必要があると感じました」
思い切り良くシュートを決めたオフェンスではなく、「どちらかと言えばディフェンスを任されています」。最多13点を挙げた準々決勝の日本体育大学戦こそ0本に終わったが、それ以外は4本のリバウンドを記録しており「今後も続けたい」と自信につなげている。