走れる2m、ラシード ファラーズの期待感
昨シーズンから東洋大学を率いる佐藤ヘッドコーチは、「シンプルにオフェンスもディフェンスも個々に頼ることなく、チーム全員でプレーするスタイルをまずは確立しています。また、アップテンポなバスケをしつつ、ディフェンシブなチーム」を目指して強化し、1部昇格を狙う。
佐藤ヘッドコーチが、「もしかすると今年が一番チャンスかもしれない」と自信をうかがわせる。東洋大学には、#24ラシード ファラーズ(4年)というダイヤの原石がいた。201cmながら「チームでは一番走る選手です。ガード陣よりも走れることが彼の強み」であり、大切に原石を磨いている最中だ。シュートタッチもよく、3Pシュートがあり、日本体育大学戦は25点をマーク。パキスタンとのハーフだが国籍は日本。走れる2mは、今後の成長次第で日本代表での活躍も期待できる。
ファラーズが試合に出始めたのは昨年からであり、佐藤ヘッドコーチがその素質を見出した。「本格的にバスケをしてまだ2年目と言っても良い選手です。日々進歩しているので、彼がどれだけ成長していくか楽しみです」と期待を込める。ファラーズの性格は明るく、コート上では4年生としてリーダーシップもあり、前向きに取り組む向上心を備えている。Bリーグでのプレーを希望しており、2~3年後に開花できるようプロの環境でじっくりと育ててもらいたい逸材だ。
「ラシードがいる今シーズン中にいろんなものを確立していきたいです。しかし、それは自分たちが思っているほど甘くはありません。私だけではなく、学生とともにいろんな課題を洗い出し、お互いに共有しながらリーグ戦に臨めるように準備したいです」
リーグ戦がはじまる秋にはどこまで成熟したチームに変貌しているだろうか。東洋大学はファラーズを中心に2部リーグの台風の目になるかもしれない。
プロリーグや過去のリーグで活躍した選手が今、大学バスケで指揮している姿は男女とも多く見られる。現役時代に応援していた選手がふたたび戦っている姿を見に、大学バスケの会場へ足を運んでみてはいかがだろうか。
プロ経験ある指揮官たちの挑戦
前編 玉川大学・板倉令奈ヘッドコーチ
中編 江戸川大学・粂川岳勤ヘッドコーチ
後編 東洋大学・佐藤信長ヘッドコーチ
文・写真 バスケットボールスピリッツ編集部