今年のマーチマッドネス(全米大学バスケットボールトーナメント)は熱かった。全米No.1=大学世界一が決まる戦いを制したのはバージニア大学。昨年、サウス地区第1シードながら同地区最下位のメリーランド大ボルティモア校に54-74でアップセットされた。過去1度も第1シードが1回戦で消えたことはなく、不名誉な歴史に名を刻んだ。あれから1年、悔しさをバネに奮起し、見事に初優勝を飾った。努力の軌跡こそ、今後も語り継がれていくことだろう。
最高峰の舞台に日本人が立っていたことも華を添えた。ゴンザガ大学のエースとなった八村塁の活躍に注目が集まる。西地区第1シードを陣取り、FINAL4と呼ばれる4強入りは確実視されていた。しかし、その一歩手前のELITE8(準々決勝)でテキサス・テック大学に敗れてしまう。その後、NBAアーリーエントリーを宣言したことで、八村にとってのカレッジバスケはこれがラストシーズンとなった。当たり前のように活躍する姿に錯覚を覚えるが、現段階でマーチマッドネスを戦った日本人は八村しかいない。世界最高峰の舞台に日本人選手が立っただけでも快挙なのに、優勝候補のエースとして君臨したことを誇りに思う。
その八村の同級生たちが日本では大学4年生になった。海の向こうの熱狂は静まったが、日本のカレッジバスケはこれからがシーズン到来である。現在、スプリングトーナメント(第68回関東大学バスケットボール選手権大会)は5回戦まで進み、ベスト16が決まりはじめている。関東大学1部リーグのチームが初戦を迎えた。
現在3連覇中の筑波大学は3部の桐蔭横浜大学を138-57で圧倒し、初戦を突破。昨年の準優勝ながら2部に降格した中央大学は、4回戦から勝ち上がってきた早稲田大学(1部)に62-77で敗れ、初戦で姿を消した。シード校にとっては初戦であり、またリーグが違うチームとの初対戦に苦戦を強いられる場面も見られる。3部の玉川大学は最後の最後まで粘ったがあと一歩及ばず、神奈川大学(1部)が84-79で辛くも逃げ切った。
Bリーグの特別指定選手たちも所属チームに戻り、エースとして活躍を見せている。現在、「youthful days」が公開されている中村太地(横浜ビー・コルセアーズ)の法政大学は江戸川大学を83-46で一蹴し、初戦突破。次戦(5月1日11時/駒沢オリンピック公園運動場屋内球技場)はベスト8を懸けて、専修大学と対戦する。同じく「youthful days」に登場した盛實海翔(サンロッカーズ渋谷)を擁する専修大学だが、ケガの影響かベンチにその姿はなかった。
本日4月30日も残るベスト16決定戦が駒沢オリンピック公園運動場屋内球技場で行われ、大学チャンピオンの東海大学が登場する。しかし昨年のトーナメント時はふるわず、6位だった。特別指定選手としてアルバルク東京の門を叩いた平岩玄を中心に、昨年の『大学最強ルーキーズ』は2年目のジンクスをはね除けて4年ぶりとなるトーナメントを制することができるか?
新チームとして始動したばかりゆえにアップセットが起きやすい。そんな春の嵐が吹き荒れることを期待しつつも、今シーズンを占う最初の真剣勝負に注目だ。第53回関東大学女子バスケットボール選手権大会も平行して開催中である。
文・写真 バスケットボールスピリッツ編集部