早稲田大学は先週末の試合がはじまるまでは、無傷の8連勝で関東大学女子リーグの首位にいた。白鷗大学との初戦に敗れ、首位陥落。しかし翌日にリベンジを果たし、9勝1敗で単独首位に返り咲いた。
早稲田大学にとっては、コーチが不在のまま迎えた試練のシーズンを送っている。バスケ中継のテレビ解説でおなじみ、早稲田大学教授・倉石平氏がチームを見ているが、練習に来る頻度は区々だそうだ。選手たち自身が高い意識を持って取り組まねばならない状況下、少しでも妥協すればチームが崩壊してもおかしくはなかった。4年生がチームを引っ張りながら自らを律し、しっかりとチームを作ってきたことは現状の結果が証明している。
しかし── キャプテンの高田静選手に話を聞くと、8連勝していてもまだまだイメージとは異なる状況だった。
── 連勝こそ止まってしまいましたが、8連勝を挙げていた好調の要因は?
8連勝はしていましたが、チームとしての調子はそんなに良くない状態が続いていました。試合をするごとに得点が伸び悩んでいます。今シーズンは確実に80点以上を獲るバスケットを目指していますが、それに対してまだ良い形でできていません。この試合も20点以上獲れるクォーター(16-17-15-17)がなく、自分たちのバスケットができませんでした。これまではそれでも勝てていたので、その課題をしっかり突き詰めないまま来てしまいました。早稲田のバスケットができていなくても勝てていたのは下位チームからの対戦だったわけであり、もっと意識していかなければいけなかったです。
── コーチ不在の日もある中で、キャプテンとしてどうチームを作ってきましたか?
藤生(喜代美)さんがヘッドコーチだったときから、自分たちで話し合ってチームを作ってきました。しかし今は、倉石さんが目指すべきバスケットスタイルに対し、明確に指示を出してくれています。自分たちとしてはそれをいかに表現できるか、倉石さんに求められていることをいかにコートで表現できるかを意識しています。練習でも一つひとつの精度にこだわりをもって取り組んでいます。
── 昨シーズンからプラスしていることは?
攻撃的なバスケットがプラスされています。ただ、今、早稲田のバスケットができなくなっているのは、攻撃的な部分が受け身になってしまっているのかなとも思っています。春のトーナメント時は全体的に得点を獲れていて、二桁得点者も多かったですが、最近は他の選手が得点を獲れていません。自分が主に点を獲る形になってしまっており、それで勝てれば良いですが、今日みたいに一人に偏ってしまうと相手にとっては守るところが絞りやすい状況になってしまいました。もう少し、シュートの精度を上げなければいけないし、全体的に得点を獲れるようにしなければいけないです。
── 敗れたことで課題が明確になったのでは?
もっと流れの中でオフェンスをしていくことと、ディフェンスでは受け身になってしまっていたので、もっとディフェンスから先手を取ってそこからファストブレイクで得点を重ねていきたいです。
── キャプテンになって成長した点は?
私自身、「キャプテンになったからがんばらなくちゃ」とはさほど思っておらず、もともとガードで司令塔ということもあり、昨シーズンからチームをまとめることはやってきました。キャプテンとしてプレッシャーを感じることなくできています。4年生がいろんな視点を持っているので、プレー面は自分が引っ張ることが多いですが、チーム作りに関しては他の4年生がしっかりしてくれているので助けられています。
── クライマックスへ向けて意気込みを!
春のトーナメントが悔しい結果(準優勝)に終わり、昨シーズンのリーグ戦では連覇を逃しています。ここから負けられない戦いが続きます。この敗戦からしっかり切り替えて、一戦必勝で戦っていきたいです。
取材をした翌日、第2、第3クォーターで20点以上を記録し、74-72で白鷗大学に競り勝った。13点を挙げた高田選手以外にも、#14 田中真美子選手が17点、初戦はファウルトラブルで仕事をさせてもらえなかった#33 中田珠未選手は20点と二桁得点者を増やし、理想の姿を取り戻しつつある。
4年生にとっては最後のリーグ戦であり、それまで3連覇していたうちの2年間は優勝を味わってきた。その味を思い出しながら、2年ぶりの頂点を目指す。
次節スケジュール(会場:浦和駒場体育館)
10月20日(土)
12:00 筑波大学vs日本体育大学
13:40 拓殖大学vs松蔭大学
15:20 早稲田大学vs専修大学
17:00 東京医療保健大学vs白鷗大学
10月21日(日)
11:00 筑波大学vs日本体育大学
12:40 拓殖大学vs松蔭大学
14:20 早稲田大学vs専修大学
16:00 東京医療保健大学vs白鷗大学
文・写真 泉 誠一