ゴールデンウィーク真っ只中の5月3日、スプリングトーナメント(第67回関東大学バスケットボール選手権大会)は準々決勝が行われた。その前日、水曜日に行われたBリーグへ取材に行けば、プロ選手たちは母校の結果を気にしており、この日の会場にも選手や来シーズンの戦力を探すチームスタッフの姿が多く見られた。
新年度を迎えてからまだ間もない中でのお披露目試合となるスプリングトーナメント。最初のタイトル獲得へ向け、選手たちは必死に勝利に向かって戦っているが、やはりこの時期におけるチームの成熟度は区々である。期待のルーキーや昨年のU19日本代表として世界10位となった2年生がいる中でも、やっぱり4年生や3年生の上級生が引っ張っているチームが強さを見せていた。
大東文化大学 70-53 東海大学
昨年のインカレチャンピオンであり、日本一となった大東文化大学はチーム力で東海大学を圧倒した。キャプテン#12熊谷 航選手(4年)は落ち着いたゲームコントロールと自らアタックして行く力を備えたポイントガードであり、16点を挙げた。202cm、#15モッチ ラミン選手(3年)は16点/23リバウンドでインサイドを圧倒している。
対する東海大学も、日本の将来を背負うビッグマン#25平岩 玄選手(3年)が前半は身体を張って留学生を阻止する場面も見られたが長くは続かなかった。#0寺嶋 良選手(3年)が3Pシュートを4本全て決め、21点を獲って孤軍奮闘したが、まだまだチームとしては荒削りなのは否めない。スーパールーキー#11大倉 颯太選手(1年)は思い切り良いプレーで会場を沸かせ、今後に行われる新人戦が楽しみだ。
勝ち上がった大東文化大学は11年ぶりの優勝へ向け、準決勝は昨年の優勝校であり、インカレ決勝の再現となる筑波大学と対戦する。
中央大学 98-72 日本大学
過去3年間、2部に所属していた中央大学だが、常に8強まで進んで春の嵐を吹かせ続けてきた。昨シーズンようやく1部へ返り咲くも、その後の順位決定戦では日本大学に1戦目は[106-74]、2戦目も[95-67]と大差で2連敗を喫している。
スプリングトーナメントではこの試合の前に明治大学を倒し、1部のレベルでも戦えることを証明した。準々決勝は、昨年完敗した日本大学へのリベンジに燃える。ハードなディフェンスからコンビネーション良く軽快なオフェンスで先手を取った中央大学が、前半を終えて48-27、21点差と大きくリードを開く。
日本大学は#0シェイク ケイタ選手(2年)と#8ジャワラ ジョゼフ選手(3年)を同時起用し、インサイドを厚くして逆転を目指す。点取り屋の#10杉本 天昇選手(2年)、#14松脇 圭志選手(3年)に火がつき、追い上げを見せる。しかし、中央大学は#13中村 功平選手(4年)、#28鶴巻 啓太選手(4年)が要所で3Pシュートを決めて相手の流れを切るとともに突き放し、17年ぶりとなるベスト4進出を決めた。
白鷗大学 77-76 専修大学
昨年の準優勝校である白鷗大学は、今シーズンより栃木ブレックスOBの網野友雄監督が本格的に指揮を執り始めた。チームバスケットに徹する白鷗大学に対し、個々のレベルが高い専修大学がリードする展開で試合は進む。
#34盛實 海翔選手(3年)と#30アブ フィリップ選手(3年)の得点源とともに、#10大澤 希晴選手(4年/195cm)と#6樋口 健太選手(3年/196cm)の大型スモールフォワード陣が勢いづける。さらにルーキーの寺澤 大夢選手(1年)が第4クォーターの苦しい場面で思い切ったシュートを決め、接戦ながらも辛うじてリードを守る専修大学。
しかし、勝利の女神が微笑んだのは白鷗大学の方だった。#75ディオップ マムシェッハイブラヒマ選手(3年)のインサイドからの攻撃を、専修大学はブロックで阻止したかと思われたがファウルコール。さらにゴールテンディングが重なり、珍しい形でのバスケットカウントとなった。その後のフリースローは外れたが、オフェンスリバウンドを拾った白鷗大学はふたたびディオップ選手がねじ込んで77-76と逆転に成功。専修大学は#10大澤選手がラストシュートを放ち、ネットを揺らすが、ブザーの方が早かったと判定されノーカウント。1点差を守り切った白鷗大学が勝ち進み、準決勝は中央大学と対戦する。
敗れた専修大学だが、#16野口 夏来選手(4年/203cm)と#12西野 曜選手(2年/196cm)が不在だった。彼らが戻ってくればチームの厚みはさらに増すことは間違いなく、今シーズン楽しみなチームのひとつである。
筑波大学 73-72 青山学院大学
青山学院大学は激しいチームディフェンスで筑波大学のオフェンスを封じる。序盤は#14伊森 響一郎選手と#21納見 悠仁選手がどんどん3Pシュートを決め、成長著しい#7ナナー ダニエル弾選手がインサイドを制し、3年生トリオの活躍で点差を離していく。40-26と14点差をつけた前半終了時点では、青山学院大学に隙は見当たらなかった。
第3クォーター、#88牧 隼利選手(3年)にエンジンがかかると筑波大学が反撃に転じる。青山学院大学は#13前田 悟選手(4年)が足を負傷し、交代を余儀なくされる。代わって入った#52赤穂 雷太選手(2年)がしっかりとつなぎ、65-52と13点とリードをキープしたまま最終クォーターを迎えた。
筑波大学は増田 啓介選手(3年)と牧選手の福岡大学附属大濠高校出身コンビで猛追していくと、その気迫に押されるように青山学院大学のシュートが落ち始め、みるみる点差が縮まっていく。残り25.7秒、牧選手がフリースローを2本しっかり決め、土壇場で73-72と筑波大学が逆転。まだ時間はあり、青山学院大学にもチャンスがある。納見選手がフリーで放った3Pシュートは落ちたが、リバウンド争いでもう一度攻撃権を得た青山学院大学。しかし、ラストシュートを託された赤穂選手は決めきることができず、涙を流す結果となった。
最高の試合だったが、レフェリーのコールにどよめきが起きる後味の悪い試合でもあった。この両チームの対戦は今後も楽しみであり、本格的なバスケシーズンが到来する秋のリーグ戦が今から待ち遠しい。
5月5日(土)駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場
12:00[5-8位決定戦]青山学院大学 vs 東海大学
13:40[5-8位決定戦]日本大学 vs 専修大学
15:20[準決勝]中央大学 vs 白鷗大学
17:00[準決勝]筑波大学 vs 大東文化大学
5月6日(日)駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場
12:40[7位決定戦]
11:00[5位決定戦]
14:30[3位決定戦]
16:20[決勝]
第4試合 #筑波 vs. #青山学院
驚異の追い上げ!#関東大学バスケットボール選手権
J SPORTSオンデマンドでLIVE配信中https://t.co/2cyHaPB1cP pic.twitter.com/Fumb6uIXmn— J SPORTS バスケット公式 (@jsports_wc) 2018年5月3日
文・泉 誠一 写真・吉田宗彦