優勝争いが山場を迎えている関東大学オータムリーグ。混戦の1部リーグは11勝3敗で拓殖大学が一歩リードし、首位に立つ。残り4試合、8勝6敗で専修大学、筑波大学、白鷗大学が追いかける。だが、拓殖大学との直接対決が残っておらず、つぶし合いとなる。7勝8敗でひとつでも順位を上げたい大東文化大学と明治大学が刺客となり、拓殖大学に一矢報いることができれば、さらに混戦となっていく可能性も十分考えられる。
上位4チームが昇格できる3部も混沌としている。すでに2枠は埋まったが残る2枠を懸け、9勝5敗の埼玉工業大学と明星大学など4チームがひしめき合う。残りは2試合しかない。1位の上武大学は2位の法政大学に2ゲーム差をつけており、次戦の明星大学に勝てば優勝が決まる。
さらに熾烈な争いが繰り広げられているのが2部だ。上位2チームに与えられる1部昇格争いは4チームまで絞り込まれた。昨年3部から昇格したばかりの神奈川大学が勢いそのままに13勝2敗で現在首位。昨年3位の中央大学はその悔しさをバネに、同じく13勝2敗。昨日、駒澤大学に痛恨の1敗を喫した3位の日本体育大学は11勝4敗、2差で追いかける状況であり、もう負けは許されない。4位の国士舘大学も上位が崩れれば昇格チャンスが巡ってくる。しかも、ラスト3試合は図ったようにこの4チームの直接対決だけが残っており、見逃せない!
2部ラスト3試合 昇格圏内直接対決スケジュール
10月21日@東洋大学総合スポーツセンター
16:00 中央大学vs神奈川大学
17:40 日本体育大学vs国士舘大学
10月22日@東洋大学総合スポーツセンター
16:00 中央大学vs国士舘大学
17:40 日本体育大学vs神奈川大学
10月28日@駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場(1部と同時開催)
16:00 神奈川大学vs国士舘大学
17:40 日本体育大学vs中央大学
神奈川大学「年々積み重ねてきた阿吽の呼吸」
平均179.6cm、コートに現れた先発メンバーの小ささにまず驚かされる。1度目の対戦は96-97で敗れた順天堂大学を相手に、運動量で上回って93-83でリベンジを果たし、その勢いに拍車をかけている。2部に昇格したばかりの神奈川大学が勝ち上がってる要因として、「粘り強いディフェンス」をキャプテンの阿達隼人選手は挙げた。ディフェンスに戻るとき、互いに指示を出し合いながら連携して散らばっていく堅守は、1年1年を積み重ねてきた証である。
オフェンスでは「ボールを動かせ」「相手のディフェンスを崩せ」と幸嶋謙二ヘッドコーチの指示通りに、ドライブで相手を翻弄していく。身長差を補うために、「どんどんゴールに向かって切れ込んでいって、そこから合わせたりしながら得点を獲るようにしています。昨年からほとんどメンバーも変わっていないので、アイコンタクトで合わせられるようになっています」(阿達選手)という阿吽の呼吸で得点を挙げ、勝ち星を積み重ねてきた。
「本当に今年は運がよく、大きなチャンスです。2月に新チームの練習を開始したときから、『絶対に1部昇格』を目指して取り組んできた成果を、今ここで全て出していけるように戦っていきます」(阿達選手)
中央大学「勝利を呼び込む有り余るエナジー」
荻野大祐ヘッドコーチはメンバーを固定せず、ロスターさえも入れ替えながらこれまで14戦を戦ってきた。タイムシェアしながら足を動かすアグレッシブなディフェンスから次々と得点を奪っていく。ベンチに目を移せば、飛び上がって喜ぶ選手たちは元気が有り余っている印象を受けた。中村功平選手は、「きつい練習も多かったですがチーム全員で盛り上げて、今までやってきました。それが試合中、ベンチもコートに立つ5人も含めて、チーム一体となって戦えています」と鍛えられた裏側を明かしてくれた。江戸川大学戦は、後半開始早々にゾーンプレスから一気に20点差を引き離し、結局83-61で快勝している。
「3年生以下の選手だけで試合に臨むことも多いので、実戦の中からコミュニケーションを取り合って、どんどんプレーの精度を高めていきたいです」と3年生の中村選手にとっては、来年の戦いも見据えた経験をしっかりと積んでいた。
アグレッシブなディフェンスを武器とするのは神奈川大学も同じであり、1度目の対戦は63-64で敗れている。
「神大の方が、体が強いです。1回オフェンスを失敗してしまうと、ディフェンスにも影響してしまうような感じが神大のプレースタイルです。オフェンスがダメでも、しっかり切り替えて自分たちのディフェンスをすることが大事になります」(中村選手)
日本体育大学「気持ちを強く持って奪い獲るリバウンドがカギ」
駒澤大学に2連敗を喫し、後がなくなった日本体育大学。1点を追うラストプレーを託された1年生の土居光選手だったが、3Pシュートは外れ、天を仰ぐ結果となった。ラストプレーへパスを出した4年生の小田桐匡志選手はこう振り返る。
「自分で行く自信もありましたが、土居に付いていたマークマンが自分のことを見ていたことでそこが空いていました。その前の場面で土居が3Pシュートを1本決めており、シュートタッチも良いと思ったので、思い切って任せました」
終始追いかける展開が続く中、点差を詰める思い切りの良いドライブを見せていた小田桐選手であり、最後も強気で行くかと思われた。その裏をかき、確率の高いノーマークの選手に託した。残念な結果となったが、その選択は間違いではない。それよりも、前半にやられすぎたリバウンドを敗因に挙げた。
「前半で相手にリバウンドを何本か獲られてしまって、その勢いでシュートが入らない状態が続いてしまったのが一番の敗因です」
リバウンドを制する者がゲームを制す。そのリバウンドは強気でいかなければ手中に収めることはできない。古豪復活へ向け、下を向いている暇はない。落ちてくるボールを全て奪い獲るという強い気持ちが必要だ。
国士舘大学「リーダーズ2部門トップの臼井弘樹選手」
チームの中心となるのは、190cmのセンター臼井弘樹選手。1部から降格してきた慶應義塾大学を相手に31点を挙げ、86-62で快勝している。平均17.3点を挙げる臼井選手は、現在2部の得点ランキングとともにリバウンドでも首位に立つ。ポイントガードの下瑞稀選手も思いきり良いドライブから得点も獲れるし、そこからのキックアウトでアシストを狙う。そのアシスト数は現在トータル60本で首位タイにいる。上位3チームとの第1戦はいずれも敗れているが、1部昇格をつかみとるためにも負けられない試合が続く。
B1でプレーする1部昇格を目指す4チームのOBたち
クライマックスを迎える関東大学オータムリーグ。現在、B1で活躍する選手たちの多くもこの舞台で鎬を削り合ってきた。1部昇格を争う4チーム出身のB1選手たちをご紹介するととも、OBたちもぜひ母校の1部昇格に声援を送っていただきたい。
神奈川大学:綿貫瞬(京都)
中央大学:伊藤俊亮(千葉)五十嵐圭(新潟)柏木真介(名古屋D)小野龍猛(千葉)谷口光貴(川崎)
日本体育大学:木下博之(大阪)鵜澤潤(新潟)野口大介(北海道)田中健介(富山)横江豊(滋賀)熊谷尚也(大阪)
国士舘大学:松島良豪(北海道)原修太(千葉)
文・写真 泉 誠一