関東大学1部「オータムリーグ」が9月9日より開幕した。その開幕戦では、早稲田大学が15点差をつけて白鷗大学を破った以外、残る4試合は全て一桁点差の接戦続きであった。今シーズンのオータムリーグはこれまでの成績を忘れて、全10チームをフラットに見ることをオススメしたい。
昨年優勝、インカレ3連覇中の筑波大学にとっても、アルバルク東京に籍を移した馬場雄大が抜けたことは少なからず影響はある。それゆえに、どこが勝つかは予測不能だ。
初日から昨年2位の東海大学が、入替戦で生き残った明治大学に敗れている。これが波乱かと言えば、そうとも言えない。群雄割拠なオータムリーグがおもしろい!
ディフェンス強化でアグレッシブ増加中
昨シーズン、「レベルが下がった」という声は大学バスケ内外から聞こえ、実際に見ていてもそう感じていた。だが、本命なきオータムリーグはどのチームにも優勝のチャンスがあり、この夏に鍛えてきた成果が見られる。特にディフェンスが強化され、アグレッシブなプレーで激しさが増していた。これまでオフェンス重視だった拓殖大学でさえ、チェンジングディフェンスを取り入れている。ラスト1秒までプレッシャーをかけ続けたことで、専修大学に敗れはしたが、6点差まで追い上げる熱い戦いを見せてくれた。
来シーズンよりレギュレーションが変わり、現在の10チームから1部も2部も12チームに拡大する。つまり、今シーズンは降格を恐れる必要はない。それにより散漫なプレーになるかと心配もしたが、それ以上に新たに様々なスタイルをトライしながらレベルアップを図っていた。もちろんインカレを制し、日本一を勝ち獲るためには、より上位でリーグ戦を終えねばならない。また、将来のB.LEAGUEを見据える選手たちにとっては、もっと個の技術を向上させ、バスケIQを高める必要がある。チームとして個人として、高いレベルを目指すことで自ずとリーグも加熱していくことだろう。
ウインターカップの主役たちが早くも活躍中
昨年に続き、今年もイキの良いルーキーが目立つ。記念すべきオータムリーグ開幕戦で先発メンバーとして登場したのは以下の選手たちだ。
専修大学:#12西野曜(近大附)※写真上
拓殖大学:#2岡田侑大(東山)、#23ゲイ・ドゥドゥ(八王子)
明治大学:#7植松義也(桐光学園)※写真下
早稲田大学:#41小室悠太郎(北陸学院)
日本大学:#0シェイク・ケンタ(北陸)、#10杉本天昇(土浦日大)
専修大学の西野は24点を挙げた。明治大学の植松は、8リバウンドを奪って東海大学を破る原動力となった。先発ばかりではなく、ベンチから途中出場した筑波大学#27山口颯斗(正智深谷)、東海大学#28津屋一球(洛南)、青山学院大学#52赤穂雷太(市立船橋)らも積極的なプレーを見せていた。今年、男子U19日本代表として世界と戦ったメンバーの一人、東海大学#19西田優大はケガのため出遅れており、復帰が待たれる。
日本一盛り上がる昨年のウインターカップの主役たちが早くも活躍。バスケファンにとっては、記憶に新しい選手たちのさらなる成長を楽しめるのが大学バスケの魅力のひとつだ。
まだまだ荒削りなルーキーたちが思いっきりプレーできるのも、上級生たちのバックアップなしでは始まらない。悪い流れの時、勝負の場面では、やっぱり4年生たちの安定した働きがチームの力となっていた。リーグ戦を通してチームを成長させ、どこが抜け出すのか?はたまた、抜け出すチームがあるのか?目が離せない。
次節は天皇杯2次ラウンドがあるために、9月13日(水)14日(木)の平日開催となり、リニューアルしたばかりの駒沢球技場で1部と2部が2面同時に行われる。昨日、早稲田大学が現王者の筑波大学を延長の末、破った。その筑波大学の次戦は、早稲田大学とともに第1節で2連勝を挙げた明治大学であり、この試合は興味深い。
今週末9月15日(土)に控える天皇杯2次ラウンドには関東リーグから白鷗大学、筑波大学、そして神奈川県予選で東海大学を破った2部の神奈川大学が出場。それぞれB2やB3クラブに挑み、B1クラブが待つ3次ラウンド進出を狙う。
関東大学バスケットボール連盟
第93回天皇杯・第84回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会 大会概要および2次ラウンド組み合わせ
文・写真 泉 誠一