Text & Photo by Seiichi Izumi
東京オリンピックまであと4年。2020年を見据え、さらに今秋から始まるBリーグを盛り上げるためにも、学生バスケが盛り上がらねばならない。
日本において、高校スポーツは地上波で放送されて人気も高いが、なかなか大学スポーツが日の目を見ることはない。これはバスケットだけに限らず、である。Bリーグでは各チーム2名まで、学年問わず「アーリーエントリーでオフシーズン中の大学生が参戦できる」ようになる。極論を言えば、大学バスケを盛り上げなければ、Bリーグの成功も、東京オリンピックに出場することもできないのではないか……と勝手に危機感を覚え、今年は“大学バスケを勝手に盛り上げたい!”と立ち上がったわけだ。
もちろん、これまでも大学バスケは好きで見ていた。しかし、媒体はありながらも、観客席で傍観していた。なぜか?
・インターネットメディア(携帯サイトを含む)単体での取材・撮影申請は原則として受け付けません。
・運動記者クラブに所属する記者
・ニュース番組、スポーツ専門誌の社員……等々
上記のような報道規制が敷かれ、とんでもなく敷居が高くて断念せざるを得なかったからだ。
さて、恨み節を並べてしまったが、年初からユニバーシアード日本代表を率いる陸川 章コーチ(東海大学)の熱いコメントをJBA公式facebookで目にしたり、ウインターカップで活躍してきた選手たちの成長があったり、「やっぱり取材したい、紹介したい」となった。そんなわけで、規制の壁を打ち破るべく、重い腰を上げた次第である。
幸い、『第32回京王電鉄杯』の取材規制は緩かった(!?)こともあり、今回は3人のヘッドコーチから、新シーズンに向けた展望を聞くことができた。チームスタイルや注目選手を含め、3回にわたって各校の特徴を、ヘッドコーチの視点から紹介していこう。
■拓殖大学:池内 泰明 監督
関東大学1部リーグ(昨年の成績/関東トーナメント5位、関東リーグ戦2位、インカレ3位)
──今シーズンのチーム状況はいかがですか?
池内:昨年から特に大きな変更はありませんが、昨年のチームは4年生が主力だったので、この京王電鉄杯を含め、今いるメンバーに経験を積ませなければなりません。昨年とは違い、今年は良いシューターがいっぱいいるので、それを生かすことを考えています。(#23ジョフ・チェイカ・アハマド)バンバ(4年・C・198cm/延岡学園)はオールラウンダーであり、これまでどおりの活躍に期待しています。また、小さくてもインサイドに一人選手を置きながらゲームメイクしていきたいです。
今年のほうがゲーム経験者が少ない分、そこは時間がかかるところ。基本的にはオフェンスでいかに得点を獲れるかを、今の段階では覚えさせているところです。特に我々のスタイルはフリーランスなので、“阿吽の呼吸”が重要になります。失敗しても次につながるように試しています。トーナメントは短期決戦なので、オフェンスに重点を置いています。本当の勝負はリーグ戦とインカレであり、そこへ向けてチームを成長させていきたいです。
──昨シーズンより小さいチームになった印象がありますが?
池内:そうですよね。当然、バンバのケガやファウルトラブルもある。その時、勝負するのはディフェンスだと思っています。しかし、現時点ではまだまだ点数の獲り方に不安を持ちながらプレーしています。そこが改善できれば、バンバがコートにいない時に、ディフェンスを変えたりすることもできてくると思います。
──元日本代表選手であり、ユニバーシアード日本代表を率いて世界と戦ってきた池内ヘッドコーチですから、小さいチームが勝つための経験が生かせるのではないでしょうか?
池内:今年は良いシューターがいるので、大きな選手を(外へ)引きずり出すことができます。その方法として、例えばピック&ロールやバックスクリーン、ダウンスクリーンが重要になってくると思っています。
──注目選手を挙げるとすると?
池内:1年の#18多田 武史(SG・185cm/佐久長聖)。この選手を4年間かけて育て、チームの軸にしていきたい。#58平良 彰吾(PG・170cm/市立船橋)もそうですが、1年生がなかなかしっかりしているので、今年どこまでできるかはわかりませんが、長期的に育てていきたいですね。特に多田は、日本人には珍しいクイックシューターなので鍛えていくつもりです。
──シューターとして活躍された池内ヘッドコーチの後継者となる逸材として、今から楽しみです。
池内:そうですね。あとは、ガードの#1山崎 拓(3年・G・170cm/土浦日大)。#39成田(正弘/4年・G・174cm/藤枝明誠)もいい。山崎はパスが上手いので、今年は起用していきます。
今年の大学バスケを占う春のトーナメント『第65回関東大学バスケットボール選手権大会』は4月23日~5月8日まで、国立代々木競技場第二体育館をはじめ、9会場で開催される(準決勝、決勝戦はJ SPORTSにて放送予定)。
試合日程やトーナメント表は、関東大学バスケットボール連盟オフィシャルサイト(http://kcbbf.jp/)にてチェック!
なお、各会場では『平成28年熊本地震』に対する義援金募金活動を実施。被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げるとともに、温かい支援の輪を広げていこう。