Text & Photo by N.TSUBURAOKA
2013年のインターハイで、40年ぶり2度目の優勝を果たした東洋大京北(東京都:京北)。昨年は2回戦で敗れ悔しい思いをした。そのチームに、1年生ながらベンチ入りを果たしていたのが#7テーブス海選手。今年はチームを引っ張るエースに成長し、北陸学院(石川県)との1回戦に臨んだ。“特別な夏”であり、1つでも多く勝利し、チームメイトと喜びを分かち合いたかったに違いない。だが、68-83で敗れてしまった。
この試合、テーブス海は1対1からのジャンプショットやカットインで次々に得点を重ねた。後半は相手のプレッシャーが強く、タフショットを打つ場面が多くなってしまったもののチーム最多の24得点。気を吐いたが善戦むなしく初戦敗退……2回戦に駒を進めることができなかったことで、テーブス海の夏が終わった。そして、日本での高校生としてのプレイも、この夏、ピリオドを打つことになった。
日本で育ったテーブス海だが、周りにいるレベルの高い選手たちがアメリカへ行き、自分自身を鍛え、レベルを上げていることに以前から触発されていた。同じ高校の先輩、田渡凌選手もその一人で、アメリカ留学から帰国するたびに体は大きくなり、技術レベルが上がっているのを目の当たりにしていた。また、田渡先輩の友人、富樫勇樹選手からはこんなアドバイスを受けていた。
「テーブスはアメリカでチャレンジすべき。僕らは言葉の問題、コミュニケーションで苦労が多く、そこでつまづくもあったけど、テーブスにはその心配がない。練習に専念できるはずだ」と。
アメリカ留学を経験した身近な選手たちから刺激を受け、自ら渡米を決心した。父親はカナダ人で、WJBLの富士通レッドウェーブでヘッドコーチを務めるBT・テーブス氏。アドバイスをもらって当然のはずだが、「一人で決めました」ときっぱり。かなり強い意志を持って決断したことがわかる。
父親のBT・テーブス氏はツイッターにこんな言葉を残していた。
「僕は決して彼にバスケを勧めなかった、彼自身がバスケの楽しさを発見した。それから、彼と僕はたくさんの苦しい、そして楽しい時間を体育館で過ごしてきた……夢を追ってたった一人でアメリカへ旅立つ。いつものように、僕は遠くから応援している」
8月末には日本を経つ本人に、試合直後に話を聞いた。
「今は、最高のレベルに上がりたい、上手くなりたいという純粋な気持ち」だと言う。それは高校2年の自分が、アメリカ留学を決意したからといって、NBAやヨーロッパでのプレイを口にするのはまだ早い、そう考えたからかもしれない。当然、不安もあるが「要は努力しだい。着実にレベルアップしたい」と、自分の未来を見据えている。
高校生活の途中でチームを離れるわけだが、後輩やチームメイトに対しては「ラン&ガンを貫いてほしい」と、消化不良で終わった試合の反省をしつつ、激励の言葉を贈った。
また一人、海を越えて大きなチャレンジに挑む若者がいる。インターハイ──暑い夏、それぞれの選手たちが熱く“夢”を追いかけるコートに注目したい。