現場で見ていたからこそ印象に残った仙座のディフェンス
トレードマークはジャンプマンのヘッドバンド。ベテラン揃いのNO EXCUSEの中において、まだまだ若い35歳。そして、森や #55 香西宏昭ら同様に話がうまい。その話術も、NO EXCUSEの必須条件なのかと思うほどである。
「バスケのオツムはまだまだなので、そこは若手のつもりでがんばっています。良い先輩たちがいっぱいおり、トップのヒロ(香西宏昭)も帰ってきたので、今後はちょっとずつ俯瞰してまわりを見られるようになっていきたいなぁと思います。バスケをちゃんとするようになってきたので、これからちょっと注目していただきたいです」
仙座の特徴は「オフェンスのときはバックピックをかけて、一緒になだれ込んだりしてスピードを生かしています」と言うように、身体を張って仲間の得点をお膳立てする。天皇杯で目を奪われたのは、身長差をものともせず、相手のスコアラーに向かって身体をぶつけ、しつこく手を伸ばしていくディフェンスだった。
「高さはないので、なるべくボールから離したところで相手にコンタクトしに行くのが持ち味。相手に『嫌いだ』と思われるくらい、ねばり強いディフェンスは意識しています」
相手のエースを攻撃に参加させないよう、バックコートでブロックするディフェンスも車いすバスケの特徴である。
「やっぱり高さがかなり有利になるので、1.5点の私が4.5点の健常者などハイポインターを止めることで、試合全体としては有利にできます。もちろん中継には映らないところではあるんですけれども(笑)、そういう地味なところに注目していただけると非常にローポインターとしてはうれしい限りですよね」
残念ながら決勝で敗れ、準優勝に終わったが、清々しい表情でコートを去ったグッドルーザー。日本一の座をつかむためには、また1年待たねばならない。経験がものをいう車いすバスケであり、及川ヘッドコーチに鍛えられ、来年はどんな戦いを見せてくれるだろうか。
文・写真 泉誠一