目指すは唯一無二のプレーヤー「大雅がいれば勝てる」
チームの役割を聞かれた北風は、「見ていただければ分かるとおり、自分はうるさいのでチームの元気印としてコート内外でプレーすること」と答え、自らもプレッシャーがかかる中でも、常にチームを鼓舞し続けた。「中で勝負するのか、外で勝負するのか、アシストを出すのかといういろんな仕事をしっかりとその場で見つけながらプレーしていました」という状況判断を武器としながらも、まだまだ発展途上である。目指す選手像は「唯一無二のプレーヤー」だ。
「4.5点ですが高さはないので、外のシュートやカットイン、ディフェンスをがんばれる選手になりたい。高さはないけど大雅がいれば勝てるって思われるような、重要な選手になれるようにがんばっていきたいです」
北風にとってはじめての日本一決定戦であり、「これが天皇杯か。とにかく楽しかった」というのが率直な感想だった。「大会へ向けた準備期間もそうですし、2日間の大会期間中もすごく楽しかったです。日本一を決める大会を経験できたことで、また来年もう一度ここに戻ってきて、次こそは日本一を取れるようにがんばっていきたいです」と続け、着実にレベルアップできた。
埼玉ライオンズは女子選手の財満がおり、少ないハイポインターを補うべく健常者の#12 大山伸明と#13 鳥飼聡史が活躍する。移籍してきた北風にとっても、バラエティ豊かなチームメイトの存在が心強い。
「多様性と言いますか、車いすバスケが一番共生社会を体現できるものだと思うんですよね。ライオンズが一番それを体現しているチームだと思っています。共生社会といった言葉ではなく、これが普通。ライオンズのチーム構成が普通だと思われるぐらい、車いすバスケで盛り上げていきたいです」
8チームで争われた天皇杯は男女混合チームが6つ、健常者は9人が参加。誰もが参加でき、一緒に日本一を目指して努力する姿に共生スポーツの可能性は広がり、その未来も明るい。
文・写真 泉誠一