同世代をライバル視しながらプレーもメンタルも成長中
世界一となったU23日本代表でキャプテンを務めた宮本にとっては、5年ぶりの天皇杯出場であり、「前回はたぶん1分も出ていなかったです」。1回戦はNO EXCUSEに39-60で敗れ、順位決定戦では宮城MAXに54-49で勝利したLAKE SHIGA BBCは5位。持ち点1.0の宮本は、得点に絡む活躍を見せた。
「やっぱりハイポインターや大きい選手が目立つスポーツであり、ローポインターは相手にも捨てられる場所です。だからこそしっかりシュートを決め切って、抜け目のないチームにしていきたい。チームを盛り上げる、鼓舞する、士気を上げるためにも、ローポインターでもシュートを決め切る攻撃型の選手になりたいです。もちろんディフェンスもしっかりできるようにしたいです」
U23世界選手権で優勝した経験を踏まえ、「悪い場面でも良い場面でもその雰囲気に流されず、自分たちがプレーを遂行させるための声がけやハイタッチをして、選手を落ち着かせることなどは世界選手権を経験して覚えたリーダーシップです。そこは発揮できていたかな、と思います」と試合へ臨むメンタルの成長を感じていた。
3位の埼玉ライオンズには、東京パラリンピックで銀、そしてU23世界選手権では金メダルを獲得し、冒頭に紹介した鳥海も一目置く赤石が成長著しい活躍を見せた。3ポイントシュートの精度も上がっている。チームメイトの古川諒(26歳)と北風大雅(24歳)らが存在感を見せていた。同世代の活躍に対し、北風は「パラ神奈川戦では一つ上の古澤選手や丸山選手、一つ下の鳥海選手がいる中で、自分は正直何もできなかったという悔しい思いをしました。その悔しさをしっかりと力に変えて、もちろん今後の代表でもクラブチームでも同世代に負けないように切磋琢磨して、もっとがんばっていかなければいけないです」という言葉が、日本を底上げしている。
4大会ぶりに日本一決定戦で4強に入りを果たした千葉ホークス。その得点源となった池田紘平(26歳)。三菱電機のCMで鈴木亮平氏とともに、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの齋藤拓実と共演した車いすバスケ選手といえばピンとくる方もいるかもしれない。恵まれた体格と非凡なシュートセンスで頭角を現し、宮城MAX戦では23点を決めた。パラリンピアンの川原や緋田高大(27歳)とともに、この20代トリオが千葉ホークスの復権を担っている。
東京パラリンピックではベテランと若手が融合し、銀メダルに輝いた。U23から世界に挑み、実績を積んできた20代の彼らが早くも開花しはじめている。来年に迫ったパリ2024パラリンピックへ向けたアジアオセアニア予選を控える今年。若きエースや新戦力が日本に悲願の金メダルをもたらせる……そんな予感を感じさせる天皇杯だった。
文・写真 泉誠一