苦しい展開でもコート上では常に笑顔でチームを引っ張るキャプテン
堀内にとっては、観客席でしか見たことのなかった東京体育館。前回大会は、東京パラリンピックの舞台となった武蔵野の森総合スポーツプラザだった。「半数以上のメンバーがはじめて東京体育館で試合するので、緊張もあったと思います。でも、緊張しながらも、みんながんばってくれました。3年半ぶりの天皇杯でしたが、僕らにとっては、はじめてのような感覚で参加していたので、新鮮な気持ちですごく楽しかったです」という堀内は、苦しい展開でも常に笑顔で戦っていた。
「勝ちにこだわりながらも、やっぱり負けているときも下を向かずに、まわりに声をかければチームも乗ります。やっぱり僕がキャプテンなので、そういう姿を見せて声をかけていかなければいけないと思っていました。笑顔というか、楽しめたのかなぁと思います」
楽しさと悔しさが入り交じる複雑な経験をできたからこそ、今度は斉藤も一緒にもう一度西日本を盛り上げるミッションへ向かっていく。先ほど名前の挙がった香川、川嶋、森本ら「ローポインターの若手はこれから育つ選手たち。その子たちの育成も含め、ハイポインターである僕と村上、今回は試合に出る機会はなかったですが本田(耕治 #22)もまだ若い選手です。しっかり成長して戻って来て、来年こそ必ずリベンジして東に勝ちたいです。その思いが強くなりました」と闘志を燃やす。
「東だけがなんか強いみたいに言われるのが嫌なんでね。他の西日本勢も東のチームと良い試合ができていました。今回は負けましたけど次こそ勝って、東より西の方が強いんだぞと言えるように、がんばりたいと思います」
チャンピオンが入れ替わり、群雄割拠の時代に突入した車椅子バスケ天皇杯。大会前から最後まで、ずっと東日本のチームをライバル視してきた堀内であり、東高西低の風向きを変えることはいくらだってできる。
文・写真 泉誠一