3人とも先天性の障害であり、持ち点も古澤が3.0、鳥海と丸山は同じく2.5と近い。プレースタイルも似ており、先に日本代表として活躍する同世代を追いかけていたのが丸山だ。大会前からシュートの調子が上がり、自信を持って臨んだ天皇杯。初戦のワールドBBC戦ではチームハイの20点を挙げた。しかし、3試合とも前半はなかなか決められずにいた。それでもメンタル強く、「絶対に入ることを信じて、前半は入らなくても調整だと思って打ち続けた結果だと思います」という丸山は、3試合とも二桁得点をマーク。しっかりと古澤と鳥海に割って入る活躍を見せ、チームの力になったからこそ、前回大会を上回る優勝をつかむことができた。
数字に残すことができたオフェンスだが、ローポインターの3人にとってディフェンスは一筋縄ではいかない。大きなハイポインターとのマッチアップも強いられる丸山は、「高さよりもスピードで勝つ自信は持っていました。もちろん相手は大きくて手強く、怖かったんですけど、やるべきことを変えずに徹底できたことが良かったです」と勇気を振り絞って身体を張り続けた。
優勝の勝因でもあるチームディフェンスだが、「普段の練習から声を出すようなチームじゃないんですよ。僕も出せているかはわからないですが、本当にアイコンタクトや雰囲気だけで戦うチームなので、トークをするというところがないんです」という不安があった。初戦のワールドBBC戦でそれが露呈し、流れが悪くなった反省を踏まえ、「ちゃんとコミュニケーションを取っていこうと話し、みんながチーム一丸となって戦えた結果がディフェンス力になったのかなと思います」という丸山も、決勝戦では大きな声を出してチームを統率していた。
優勝直後のテレビインタビューで、キャプテンの鳥海は「これまで宮城MAXが不動のチャンピオンとして勝ち続けていたあの姿を見て、このコートに立ちたかったし、あの姿になりたかった思いがありました。これからしっかり連勝できるように、一から練習をしてまた強くなっていきたいです」と、早くも来年へ向けた抱負を語る。続けて、古澤も「今度は僕たちが勝ち続ける番。明日からがんばっていきます」とコメントを残し、連覇へ向けた新たな戦いがスタートを切った。
文・写真 泉誠一