2019年5月を最後に、コロナ禍で中止が続いていた唯一の日本一決定戦「天皇杯 第48回日本車いすバスケットボール選手権大会」が、1月20日(金)より3年8ヶ月ぶりに開催される。内閣総理大臣杯として、最後となった2017年以来となる聖地・東京体育館に帰って来る。共生社会を体現する車いすバスケであり、男女混合チームや障がいを持つ選手だけではなく、誰もが挑戦できるのも魅力だ。
予選やワイルドカードを勝ち上がってきた全8チームで争われる天皇杯。その中心にいるのは大会11連覇中の宮城MAX。しかし、アシスタントコーチを兼任する萩野真世は、「11連覇を築きあげてくれた先輩方が、東京パラリンピック後にみんな引退してしまい、新しいチームとして今回の宮城MAXを見ていただければありがたいです」という状況である。藤本怜央はドイツで活躍中だが、長年チームを支えてきた藤井郁美と豊島英はすでにユニフォームを脱いだ。しかし、昨年9月に行われたU23世界選手権で金メダルを獲得したメンバーの一人である伊藤明伸を中心に、新生・宮城MAXとして今大会に照準を合わせて来た。「若手選手も入り、今までチームを支えてくれた選手たちと一緒になってスピードに乗って、勢いにも乗せていきたいです」と萩野は力を込め、「まず1勝」が目標となる。1回戦は宮城MAX王朝時代になる前、日本一に君臨し続けていた古豪・千葉ホークスと対戦する。
東京パラリンピックで銀メダルに輝き、U23世界選手権で世界一となり、短期間で多くの経験を積んだ若い選手たちが天皇杯の勢力図を変えるような予感がする。両方の国際舞台で活躍し、2つのメダルを獲得した鳥海連志(パラ神奈川SC)と赤石竜我(埼玉ライオンズ)。赤石の所属する埼玉ライオンズは、2019年前回大会の準優勝チーム。パラ神奈川SCは鳥海とともに、古澤拓也の若き日本のエースが揃っており、優勝圏内を見据えるチームの1つである。
2年前の準優勝チームであり、決勝で宮城MAXを苦しめたNO EXCUSE。キャプテンの香西宏昭がドイツから戻り、2大会ぶりの天皇杯参戦となる。元日本代表を率いた及川晋平ヘッドコーチも復帰し、「昨年6月頃から再始動し、順調にチームワークや強化ができていると思います」と香西はアピールする。優勝を目指すために、「日々取り組んできたことを思い切って出すだけ。1試合1試合成長できるような大会にしていきたいです」と謙虚に抱負を語る。バスケの技術だけではなく、車いすの操作も勝敗を左右し、経験がものをいう。ベテラン揃いのNO EXCUSEが優勝に近い存在であり、香西の言葉からも自信がみなぎっていた。