次世代メンバーが躍進し、11連覇を狙う宮城MAX
平成から令和に変わり、新元号初の『天皇杯』(第47回日本車いすバスケットボール選手権大会)が5月10日(金)より3日間、2020年東京パラリンピックの会場となる武蔵野の森総合スポーツプラザにて開幕する(観戦無料)。11連覇を狙う常勝軍団・宮城MAXが中心となり、日本一を争う戦いがはじまる。
天皇杯は2年前より男女混合チームで出場できるようになり、宮城MAXには藤井郁美と萩野真世がいる。藤井は『オールスター5』に2年連続で選出される大きな戦力だ。宮城MAXはこれまでも日頃の練習から女子選手と一緒に行っており、これが本来の姿でもある。
車いすバスケは障がいの程度により『持ち点』があり、重度な1点から4.5点まで0.5点刻みで振り分けられる。コート内にいる選手の『持ち点』合計を14点以内にしなければならない。しかし、天皇杯では女子選手1人につき1.5点が合計点にプラスされる。それにより、男子選手の比較的軽度な障がいである3.0点以上のハイポインターをより多く起用できるのが利点だ。
記者会見に登壇した萩野は、「次世代メンバーが試合経験を積んでいます。プレータイムをもらったらその力を発揮して、全員バスケにつなげていけるようにしたいです」と彼女たちの世代が躍進し、さらに連覇を続けるベースを作りたい。常勝軍団の中にいて、プレッシャーがないわけではない。
「一つひとつの試合を勝つためにプレーするだけ。選手全員も同じように思っているので、全員バスケで優勝に向かっていくだけです」
東日本代表は日本一の速さを誇る『パラ神奈川』、西日本代表はベテラン揃いの『ワールドBBC』
先月、天皇杯への出場権を懸けた予選会が行われた。東日本予選はパラ神奈川スポーツクラブ、西日本予選はワールドバスケットボールクラブがそれぞれの地域を制し、日本一を目指す。
昨年、日本代表として世界選手権に出場した古澤拓也と鳥海連志の若きスターを擁するパラ神奈川スポーツクラブ。「若いチームなので常にチャレンジする姿勢を見せ、日本で一番速いバスケを多くの方に観て欲しいです」と古澤はアピールしていた。
昨年7月より健常者も車いすバスケ選手として登録が可能になった(※健常者の持ち点は4.5とし、ゼッケンは白地に紫になる)。その意図は競技力向上とともに、競技人口増加や普及発展のため。パラ神奈川スポーツクラブにも健常選手が加わった。日本一の速さを誇るパラ神奈川スポーツクラブだが、これまでインサイドは手薄だった。その弱点を健常選手で補い、「インサイドでも攻められるチームになった感覚があり、それが(東日本予選で)埼玉ライオンズに勝てた要因でもある」と古澤は早くもその効果を実感している。インサイドの起点になるとともに、スクリーナーとしてピック&ロールからの攻撃が増え、古澤らシューター陣を生かすプレーにつながっている。