僕ら世代がチームを引っ張っていく
東京パラリンピックへ向けて、新たに始動した車いすバスケットボール日本代表が世界の強豪チームに挑んだ「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2017」。2勝2敗、リーグ戦と3位決定戦でのトルコ戦しか勝利できなかったが、オーストラリアとは1点差、イギリスにも7点差と対等に戦えたのは大きな自信になったはずだ。今大会、若い選手が台頭し、新戦力の活躍が光ったのも大きな収穫である。
及川晋平ヘッドコーチは、これまで積み上げてきた車椅子バスケットの基本の動きである「ベーシックス」に加え、新たに「トランジションバスケット」に取り組みながら強化を図っている。その中で、U23日本代表選手たちはすでに、6月のU23世界選手権でトランジションバスケットを体現し、世界4位の好成績を収めている。そのメンバーの一人、まだ18歳ながら昨年のリオデジャネイロパラリンピックを経験した天才・#5鳥海連志選手は、「トランジションバスケットに関しては他の代表メンバーよりも経験は多く、劣っていないという自信があります。僕ら世代がチームを引っ張っていくようなプレーや声かけをもっとしていきたい」と頼もしい。
トランジションバスケットの肝となるのはプレッシャーディフェンスである。「ディフェンス時は、引いてしまうと相手の高さの部分が有利になってしまうので、いかにゴールから遠いところで止められるかを意識しています。また、相手と駆け引きをしながらミスを誘ったりしながら、パスカットすることも多くなりましたし、前からプレッシャーをかけることも増えています」という鳥海選手は、予選リーグのトルコ戦では3つのスティールを記録した。
今大会中、鳥海選手は「学ぶ時期から発揮する時期に入った」と表現していた。日本代表としてトランジションバスケットを実戦で試したことで、「ミスをどれだけ減らすことが今後のキーになってくる」と課題も見つかっている。
村上と僕が2枚看板となって日本を強くしたい
日本代表として初選出された#24秋田啓選手は、その大きな体を生かし、効率良くシュートを決めていった。現在配布中の弊誌Vol.12で小宮邦夫さんが紹介している「EFF(efficiency)貢献度」を計算するとトップは「20」と断トツでエースの#55香西宏昭選手。続く「14」は大黒柱の#13藤本怜央選手だった。先発メンバーが「8」となる中、10分程度の出場時間にも関わらず秋田選手は「7」とその貢献度は素晴らしい。交代でコートに入るや否や、すぐさまシュートを決めたりリバウンドを獲ったり、必ずと言って良いほどポジティブ要素のスタッツを残していく。予選ラウンドのトルコ戦は、約11分の出場ながら、8得点/7リバウンドの活躍に目を奪われた。