とはいえ、出場することには覚悟も必要だった。ストリートや3×3とBリーグを行き来する選手がまだそれほど多いと言えない現状では、ストリートの舞台に表れるBリーガーに対して、周囲の視線のハードルも上がる。その環境に慣れているはずのMONEYも、出場を決めたはいいものの、重圧は容赦なくのしかかってきたそうだ。
「めっちゃプレッシャーだったんですよ(笑)。優勝以外マジでない。負けたらディスられちゃうじゃないですか。相手にも『プロを倒した』とか言われたくないですし、何を言われるかわからない。プロとして出るからには絶対に優勝して、『やっぱりUNDERDOG強かったね』というところを見せないといけなかった。今はそのプレッシャーから解放されて、超清々しいです。いや、ホント怖かったですよ(笑)」
今回の優勝は、三井秀機(M21)がチームを結成してから着々と積み重ねてきた総力を結集した結果だ。現役大学生2人の活躍も目を見張るものがあったが、MVPに選ばれたのは驚異のシュート力で得点を量産した福田大佑(DAISUKE)。チームが苦しんだ時期も常にチームを引っ張ってきた福田は、UNDERDOGの土台の強さの象徴であり、その姿を見てきたMONEYも心から喜び、称えた。
「最後、大佑は泣いてましたけど、積み上げるってすごく地道な作業で、大ちゃん本当に辛かったと思うんです。若手たちが活躍してくれて、UNDERDOGのこれからは明るいなと感じると同時に、大佑の涙にはちょっとくるものがありました。三井さんも今回の優勝は絶対に喜んでくれてると思いますし、もしかしたら大ちゃんを見てもらい泣きしてるかもしれない(笑)。リーダーにしかわからないものもあると思うんでね」
そう語るMONEYは、Bリーグではこのオフに山形ワイヴァンズから滋賀レイクスに移籍。滋賀といえば、これまで何度もその危機を脱してきたが、Bリーグ7シーズン目にしてB2降格の憂き目に遭ってしまったチームだ。ALLDAYを終えてBリーガーに戻る眞庭は、茨城ロボッツ時代にチームのB1昇格を経験しているということもあり、1年でのB1復帰を目指す滋賀で自身に課される役割もよく心得る。
「会社(フロント)とコーチ陣、選手の風通しを良くする、コミュニケーションで一つにまとめるというのを任されてると思います。プレーで貢献することももちろんですが、最終的にはメンタルだと思うんです。シーズン終盤になると、その部分で良いチームかそうでないかというのが顕著に分かれる。その点で僕は、経験が長い分、若手が気づけないところにも気づけると思うので、それを的確に言葉にできるように、導いていけるようにと思ってます。最後にはB1昇格、これは絶対に果たしたいです」
久しぶりのALLDAYで優勝を味わい、弾みをつけたMONEY。今度は眞庭城聖として、自身の経験値を新たな環境にも還元し、そのキャリアをさらに輝かせようとしている。
文・写真 吉川哲彦